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【初心者必読】「なんとなくいい」を卒業するための音楽用語辞典②黒人音楽のジャンル編

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「ソウルとR&Bって別物なの?」

前回はロックのサブ・ジャンルに的を絞って解説しましたが、今回はブラック・ミュージック全般に目を向けていきましょう。

ロックだけでも手一杯なのに、音楽初心者にはまだまだ知っておきたいジャンルの名称がたくさんあります。

その音楽ジャンルの特徴や性質を、一問一答形式でバンバン解説していきます。前回同様ジャンルの代表的な楽曲も紹介するので、そちらも合わせてお楽しみください。

(「音楽用語辞典」シリーズのバックナンバーはコチラから!)

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ブラック・ミュージック(黒人音楽)って?

前回は「ロックって何?」というところから見ていきましたが、今回も丁寧にいきましょう。

ブラック・ミュージック、日本語で言うと黒人音楽(差別的な表現という指摘もありますが、慣用的に今回は使用することにします)とは読んで字の如く

「アフリカン・アメリカン(アメリカ黒人)が創始した音楽の総称」

です。

これは是非覚えておいてほしいんですが、今日のポピュラー音楽というのはほとんどアフリカン・アメリカンが発明したスタイルなんですよ。

「洋楽」というと白人アーティストを連想しがちかと思いますが、音楽を深く知る上でアフリカン・アメリカンへの敬意は忘れてはいけないものです。

①ブルース

最初に触れていくのはブルースについて。

「ブルージー」なんて表現もロックの世界ではよくするんですけど、それもこのブルースの形容詞形ですね。日本語にするなら「ブルースっぽい」ってことなので。

さて、ブルースとは

「黒人奴隷の労働歌をルーツにする、ギターを主体とした音楽。ジャズロックのルーツの1つでもある」

という風に覚えておいてください。

アメリカの黒人奴隷たちが過酷な労働を耐えるために歌った労働歌がそのまま一定のフォーマットを形成して、ブルースという1つのジャンルは誕生したんです。

今日の音楽になかなかコテコテのブルースというのは残っていないんですが、ひとまずはコテコテのブルースを聴いていただきましょう。

悪魔に魂を売り渡し、天才的なギターの才能を手に入れた「クロスロード伝説」でも有名なロバート・ジョンソンで、その名も『四辻ブルース』(この邦題使っている人、他に見たことありませんが……)。

Robert Johnson – Robert Johnson's Cross Road Blues (Official Video)

この溢れんばかりの哀愁、これがやはりブルース最大の特徴でしょうね。

それから、ロックを聴くならやっぱりブルースのなんたるかは知っておいた方がいいですよ。ロックの主役であるギターの演奏というのは、かなりブルースに影響を受けたものですからね。

②ソウル/R&B

R&Bとソウルの違いって何なの?というのはよくぶつかる疑問ですね。まずはここを解決しておきます。

結論から言って、この両者に違いはありません。少なくとも現代の音楽シーンにおいては。

厳密な話をすると、成立過程が微妙に違います。ブルースが発展してR&B(リズム&ブルースの略称)が生まれ、さらにR&Bからソウルというジャンルが誕生したという経緯なんですね。

ただ、ブルースとR&Bは明確に違うんですけど、もうR&Bとソウルに関しては音楽的にはほとんど一緒で。だからこそソウル/R&Bとよく一緒くたにされる訳です。

さて、それで肝心のソウル/R&Bに関してですね。この2つは

「ヴォーカルを中心に据えたブラック・ミュージックの最もスタンダードなスタイル。メロディはもちろん、リズム楽器の演奏を持ち味とすることも多い」

とまあ、これくらい抽象的に表現しておきます。

というかね、このジャンルが成立する以前のブラック・ミュージック(ブルースやゴスペル)か、それかヒップホップ、それ以外の黒人音楽はだいたいソウル/R&Bに括れちゃうんです。だからこそ、このジャンルの定義も曖昧にしておいた方が都合がいいんですね。

例えばこんなの

I Heard It Through The Grapevine

はすごく一般的なソウルですし、もっとクールで洗練されたイメージのものだと

Michael Jackson – Billie Jean (Official Video)

こういうのですか。それから一気に現代的にして

Beyoncé – Formation (Official Video)

こういうのももう全部ソウル/R&Bと呼んじゃって構いません。もちろんそれぞれ色んな背景がある個性的な音楽なんですけど、ザックリとしたカテゴリの上では。

(ソウルの傑作アルバム『ヴードゥー』のレビューはコチラから!)

③ファンク

で、今説明した通りソウル/R&Bって広い領域ですから。そこから様々なジャンルが派生していきました。

その中でも一番デカイのがファンクです。ファンクというのは

「ソウル/R&Bより更にリズムを重視した、跳ねたビート感を特徴とする音楽。ギターのカッティングやベースのスラップ奏法が多用される」

こんな音楽です。専門用語が追加で出てきたので軽く補足を。

カッティングというのは語感の通り、音を伸ばさず切るようにしてギターを演奏する奏法ですね。実際にファンクの名曲の中だと、

Get Up I Feel Like Being A Sex Machine

ファンクの帝王、ジェームス・ブラウンの代表曲『セックス・マシーン』で印象的に鳴っているギター。これがカッティングです。

続いてスラップですね。これはベースの弦を叩きつけるようにして演奏するテクニックで、ものすごくファンキーなサウンドが得られます。実際に聴いてみましょうか。

POW

こちらもファンクの第一人者、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの元ベーシストであるラリー・グラハムの楽曲です。このブリブリしたベースの音、これがスラップですね。

こういう強烈なリズム、それも跳ねたような勢いの良さですね。これを強みとするのがファンクです。音の質感が柔らかそうなのがソウル/R&Bで、硬そうなのがファンク。これくらいのイメージで分類しておくとわかりやすいです。

④ヒップホップ

「ラップ」と言った方が通りがいいでしょうか?ただジャンルとしてはヒップホップと呼ぶことが一般的です。実はヒップホップもアフリカン・アメリカンが生み出した音楽なんですね。

ほぼ答えてるようなもんなんですけどもう一度。ヒップホップとは

「メロディの要素が希薄で、韻を踏むラップを主体としたジャンル。楽器による演奏ではなく、機械による打ち込みや既存の楽曲のサンプリングを用いることが多い」

とまあ、こういうジャンルです。

ラップはだいたいの方がイメージできると思うので、サンプリングについて軽く説明をしておきましょうか。

音楽としてのヒップホップの特徴の1つですね。要するに他のアーティストの音源を引用する訳です。

ヒップホップ初の全米チャート1位を獲得したビースティ・ボーイズ(ブラック・ミュージックとして紹介していますが、ビースティのメンバーは全員白人です)の『ライミン&スティーリン』を一度聴いてみてください。

Rhymin & Stealin

イントロの強烈なビート、これ実は前回ハード・ロックの解説で登場したレッド・ツェッペリンの『レヴィー・ブレイク』をサンプリングしたものです。こっちがサンプリング元。

When the Levee Breaks (Remaster)

こういう露骨なサンプリングを「モロ使い」なんて表現をしたりするんですが、こういう既存の楽曲を音楽の中心に据えることが文化として浸透しているジャンルなんですよね。

そうそう、日本では「フリースタイル」が人気ですが、あれはどちらかというとストリート・カルチャーなので音楽ジャンルのヒップホップとはちょっと性格が違うということは理解しておいてください。

(ヒップホップをもっと聴きたい!という方にはコチラもオススメ!)

まとめ

現代の音楽を聴く上で知っておきたいブラック・ミュージックのジャンルはざっくりこれくらいでしょうか。ジャズなんかもそうなんですけど、ちょっと込み入った話になりそうなので割愛しました。

(ジャズに関してはコチラもオススメ!)

冒頭でも書きましたが、ブラック・ミュージックというのはポピュラー音楽の根っこの部分を担っています。実はロックの偉人たちの多くも、アフリカン・アメリカンのセンスに憧れていたんですね。

ビートルズもストーンズも、ディランだってクラプトンだって、黒人たちが生み出した音楽に少しでも近づこうとした結果あの素晴らしい音楽を生み出した訳です。

ということはですよ?ブラック・ミュージックについて大まかにでも理解しておけば、ロックやその他の音楽ジャンルだってグッと見通しがよくなります。

是非この記事でブラック・ミュージックとはなんぞや?という疑問を解消していただければと思います。次回は過去2回で触れられなかった音楽ジャンルを解説していきますよ。それではまた。

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