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【D・ボウイを偲んで】独断と偏見と愛で選ぶ、デヴィッド・ボウイ全オリジナル・アルバム・ランキング

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今日はデヴィッド・ボウイの命日ですね。私にとって初めてリアルタイムで失ったスターでした。取り返しのつかない「何か」がこぼれ落ちたような、あの奇妙な感覚は一生忘れないでしょう。

ただ、今日という1日を感傷的に過ごすのもらしくないのかなと。「デヴィッド・ボウイ」という人物に対する態度としてね。だって彼は自身の死すら、表現のエッセンスに昇華した究極の道化ですから。敬意と尊厳を払いつつ、彼の作品を全霊をもって楽しむべきです。

ということで、今日は彼の作品を全霊をもって楽しむべくこちらの企画です。ボウイの全アルバム・ランキング。

いやあ骨が折れそうですね。なにせ彼が発表したアルバムは実に28枚にのぼります。創作意欲の塊のような人でしたから。

ただ、その尽きることない創作に世界は魅了された訳ですから。彼への追悼も込めて、全てのカタログを聴き込み直して挑みたいと思います。

……と言ったものの、ごめんなさい、グラム期に発表している『ピンナップス』は選外とさせてください。カバー・アルバムなので、自分の中でライヴ盤や編集盤と同じ「別枠」扱いなんです。選曲も面白くてかなり好みなアルバムなんですけど。

それからティン・マシーンでの2枚、これも選外です。1つに、ボウイが過去のキャリアを封印してまで臨んだバンドである以上同列で語るのはちょっと違和感があるという理由。もう1つに、シンプルにこの時期のボウイってスランプの真っ只中で、多分この2枚入れてもワースト1,2を独占して終わっちゃうからですね。

さて、話の腰を折って恐縮です。それではデヴィッド・ボウイのオリジナル・アルバム、全25枚のランキングです。張り切ってどうぞ。

第25位 “Black Tie White Noise” (1993)

The Wedding (2003 Remaster)

ワースト1位はこの作品です。ティン・マシーン解散後のソロ復帰第1作、『ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ』

『レッツ・ダンス』以来の参加となるナイル・ロジャースや、グラム時代の盟友ミック・ロンソンとの共演と聞くと如何にもカムバックしたかのようですし、実際セールスは好調だったようですけど、客観的にキャリアを俯瞰してみるとまだまだボウイのスランプは続行中のようです。

流行のサウンド、これはロックというよりクラブ・シーンなんですかね?を取り入れようという姿勢は買いたいんですけど、ならナイル・ロジャースもミック・ロンソンもいらない訳です。かなり迷走している感は否めないかと思いますね。

それと、肝心の曲が弱すぎる。一般に最悪とされる『トゥナイト』ですら、「おお!」となる楽曲はあるんですが、本作は本当にヌルッと始まってヌルッと終わっちゃうんですよね。今回の企画でもないと、聴き返すことはなかったアルバムの筆頭です。

第24位 “David Bowie” (1967)

Love You Till Tuesday

ボウイの偉大なキャリアから考えるとあまりにも影の薄い、彼のデビュー・アルバムです。

影が薄くなるのも当然で、語るべきことが本当に少ないアルバムなんですよね、この時代に山といたであろうフォーキーなSSWっぽいロック青年ですから。まだまだデヴィッド・ボウイという才能の持つフリーキーさやむせ返るような個性が発揮されていません。

ただまあ、「1967年に大量に生産されたであろうB級レコード」としては聴きごたえがあるのも事実で。なにせ2年後には『スペース・オディティ』を出せるくらいのセンスは持っている訳でね。「デヴィッド・ボウイ」を期待するからダメなのであって、聴き方を変えてみると意外と楽しめますよ。

第23位 “Tonight” (1984)

Loving The Alien (2018 Remaster)

デヴィッド・ボウイの長い長い「暗黒期」、その序章となる曰く付きのアルバム、『トゥナイト』です。

『レッツ・ダンス』が軽んじられがちなの、次作にあたるこの作品のせいだとすら個人的に思っています。路線としては同じものなんですが、もうこっちは「1980年代っぽい」にも限度がある。今振り返ったときの古臭さは否定しようもないですね。

作りも荒いというか、ボウイ単独の楽曲がそもそも少ないですしね。カバーやらイギー・ポップとの共作やらが目立ちます。こういう点でも、当時のボウイが不調にあったことが見えてくる気がしてます。

他の批評やファン人気ではもう少し評価が低い気もしますが、個人的な音楽の原体験が1980年代ポップスだったのもあってその古臭さに多少抵抗がある点それでもこれはキツイですが)、そして楽曲のパワーは最低限感じられる点、この辺で擁護してやれる作品なのかなと。いや、名盤だとは思いませんけどね。

第22位 “Never Let Me Down” (1987)

David Bowie – Time Will Crawl (Official Video)

『トゥナイト』と並ぶ形でのランク・インです。それくらいこの辺りのボウイは不調ですね。『ネヴァー・レット・ミー・ダウン』が第22位。

この作品も『トゥナイト』同様、ボウイのキャリアで最も退屈な時期に位置付けられるものだと思います。ボウイって何やらせても真ん中に彼の個性があるじゃないですか、サウンドにしろ楽曲にしろね。でもこの時期はそれがないんだな……

ただまあ、前作よりはいくらか持ち直している感はありますね。カバーに頼りがちだった前作と違ってあくまで作曲はしっかりこなしているし、全体としてロック色を強めているのは苦し紛れかもしれないけれど結果的にまとまりをよくしています。

まあ、我々が聴いて分かるレベルのスランプを本人が理解していないはずもなく。立て直しのためにティン・マシーンを結成する訳ですがこれがまた……キャリア網羅でもする気がないなら、後追いで聴く価値は低い作品群と言わざるを得ません。

第21位 “Reality” (2003)

David Bowie – New Killer Star

この作品をこの位置に持ってくるのはちょっと心苦しいんですが、あくまで主観でランキングにするとここに追いやられてしまいましたね……『リアリティ』が第21位です。

半分ネタバレになるんですけど、この作品以前の数枚はかなり高い位置につけています。で、本作もそれと同じ流れを汲むアルバムではあるんですが、ちょっと食傷気味というか、「焼き直し」感があるような気がしてしまうんですよね。ボウイに対して「焼き直し」感を抱いてしまうって、致命傷じゃないですか。

アルバム全体の流れもやや弱くて……それはモダン・ラヴァーズロニー・スペクターのカバーを収録しているという理由もありますし、楽曲それぞれが独立していて、作品としてのドラマ性を感じにくいという意味でも。

嫌いではないし、この時期のボウイは再評価されるべきだとは思っているんです。ただ、アルバム作品としての存在感、目が離せなくなるあの吸引力みたいなものには欠ける作品なのかなと。なまじいい曲が多く収録されているだけにね。

第20位 “Earthling” (1997)

David Bowie – I'm Afraid of Americans (Official Music Video) [4K Upgrade]

前作『アウトサイド』での復調と久方ぶりのワールド・ツアーでの手応えを受けて発表された意欲作、『アースリング』です。

インダストリアルに接近してみたかと思えば、本作ではドラムンベースジャングルを吸収するという積極性が見どころの作品ですね。大きく括ると『郊外のブッダ』以降続くエレクトロニカ路線と言えるんでしょうけど、その中でも個性的な印象のアルバムです。

デジタルな質感、それもアグレッシヴで近未来的なサウンドって意外とこれまでのボウイにはない個性なんですよね。もっと退廃的なムードが強いので。それに楽曲も『アイム・アフレイド・オブ・アメリカンズ』を筆頭に、『バトル・フォー・ブリテン』『リトル・ワンダー』となかなかの名曲揃いです。

ただ、どうにもこじんまりしているというか、脳にこびりつく強烈なアピールには欠ける作品なのも事実で。「面白い作品」止まりで、「名盤」「愛聴盤」となるには一歩及ばずです。キャリアを追いかけると興味深い立ち位置の作品ではあるんですけど。

第19位 “Space Oddity” (1969)

David Bowie – Space Oddity (Official Video)

実質的なデビュー・アルバムということになっている、名曲『スペース・オディティ』の名を冠した1969年発表のアルバムですね。

何を置いても表題曲でしょうね。アポロ11号の月面着陸のテーマ・ソングとしてキャリア初のヒットを記録した初期の代表曲。それと同時に、「トム少佐」という架空の人物に物語を投影するという、シアトリカルなボウイの表現性の最も早い例としても重要です。

ただ、どうしても他がちょっと弱いかな。グラム・ロックという感じでもなくて、遅れてきたフォーク・ロック感があります。パッとしないというのは乱暴な表現ですけど、アルバムとしての印象が1曲目にもっていかれているのは事実かなと。

面白い瞬間もあるし嫌いじゃないですけど、如何せん次作以降本領を発揮しちゃうのも良くないですね。もう少しこれくらいのレベルの作品が続くなら「初期の名作」という風にも語れたんですが。あくまで「期待の新人」くらいのボリューム感の作品だと思います。

第18位 “Diamond Dogs” (1974)

Future Legend (2016 Remaster)

「ジギー・スターダスト」のペルソナを放棄した直後の作品ですね、『ダイアモンドの犬』です。

グラム・ロックの残り香はかなり感じるんですけど、作品としては新しい方針を模索している印象です。G・オーウェルの傑作小説『1984年』を題材にしたロック・オペラにする構想があったものの、オーウェルの遺族の反対にあい頓挫したという本作の経緯がそれを物語っていますね。

音楽的には以降寄り道するソウル路線のエッセンスをほんのちょっぴり感じさせつつも、クラシック・ロックらしさも残ってしまっているし、それでいてミック・ロンソンのようなかつての盟友は不参加でロックとしてもパワー不足。良くも悪くも振り切った作品の多いボウイの中では、煮え切らない感も正直なところあります。

好きな曲も結構あるし、『愛しき反抗』なんてボウイのキャリアを代表するキラー・チューンなんですけど。どうにも「弱い」アルバムです。特にこの時期のボウイの平均点の高さと比較しちゃうとね……

第17位 “The Buddha Of Suburbia” (1993)

David Bowie – Buddha Of Suburbia (Official Video)

日本盤がいまだに出ていない関係もあって本当に影の薄い作品ですよね、『郊外のブッダ』です。当初は同名ドラマのサウンドトラックとして制作されているものの、実質的にはほとんどオリジナル・アルバムでしょう。

10年弱にわたって続いたスランプからの脱出、これがようやく果たされた作品じゃないでしょうか。インスト楽曲、それこそ「ベルリン3部作」『ロウ』『ヒーローズ』のB面を思わせる展開もかなり多くて、まるでB・イーノ参加作品かのようですから。事実、本作を聴いて感動したイーノは次作で再びボウイとタッグを組むことになりますしね。

特に前半はアンビエントエレクトロの要素が強くて、1980年代後期の「とりあえず流行りのサウンド乗っかっとこう」みたいな軽薄さや、ティン・マシーン時代の「とりあえずガレージっぽいことしとこう」みたいな安直さがないんです。旋律にはどことなくアジアンなテイストも感じられたりしてね。

でもハードなギターを鳴らす瞬間だったり、インダストリアルっぽい質感の楽曲だったり、しっかりバラエティにも富んでいて。単なるアンビエント・アルバムならイーノを聴いておけばいいですから。キャリアを追ってノンストップで聴いていると、ここまで聴き応えのあるアルバムは本当に『レッツ・ダンス』以来です。

第16位 “Young Americans” (1975)

Fame (2016 Remaster)

ボウイの「ソウル期」に位置する1枚ですね。『ヤング・アメリカンズ』です。「ソウル期」と言っても『ダイアモンドの犬』はまだ過渡期だし、『ステーション〜』になると半分クラウトロックに染まったヨーロピアンなサウンドですから、正統派ソウル・アルバムは実はこの1枚だけなんですけどね。

で、ソウルの聖地フィラデルフィアで歴戦のセッション・ミュージシャンと共演して生まれた本作、いやはや流石に名作です。マジカルでミステリアスなデヴィッド・ボウイのイメージからは外れた、もっとリラックスできる作品でね。

シンガーとしてのデヴィッド・ボウイに注目しても面白い作品で、ソウルを歌うにはボウイはあまりに声量や音域が欠けているところに、あの持ち前の魔力「ボウイ流ソウル」にしちゃうという。こういう表現力、この作品がしっかりしたソウルだからこそ見えてくる部分ですよね。

惜しむらくはあまりにキッチリとソウルに落とし込んだ結果、「ロックの偉人、デヴィッド・ボウイ」に触れたい時に手が伸びないという点ですか。『フェイム』筆頭にいい曲は多いし、かなり好きな部類なんですけど、聴き返す頻度はそこまで高くないという……

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