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独断と偏見と愛で選ぶ、スピッツ全アルバムランキング

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以前、「ザ・ビートルズ全アルバムランキング」という企画を敢行しました。

ザ・ビートルズとランキング、この全人類が大好きなもの同士のコラボはありがたいことに好評を博しまして、今のところこのブログ一番の人気記事です。

ということで調子に乗って、今回は「全アルバムランキング」企画第2弾。今回扱うアーティストはスピッツです。

花鳥風月』をはじめとしたスペシャル・アルバムやシングル集(余談ですがこれはベスト盤ではありません)『CYCLE HIT』シリーズ、それからミニ・アルバムである『オーロラになれなかった人のために』を除外して、これまでスピッツが発表したオリジナル・アルバムは計16作品。

この16作品を対象に、ただただ私の独断と偏見、それからスピッツ愛に基づいてランク付けしてみましょう。

16位『スーベニア』(2005)

スピッツ / 春の歌

最下位、と言うよりは上から16番目のアルバムといった方が心情的には正確ですか。『スーベニア』です。

この作品はねぇ……代表曲である『春の歌」に、個人的に5本の指に入るお気に入り『正夢』が収録されているのはまず評価したいんです。

ただ、他の楽曲に意識が向くことがほとんどないんですよね。『みそか』や『テイタム・オニール』なんて楽曲も悪くないんですけど、楽曲同士の勢力関係がやや歪というかね。

アルバム全体の空気感やアプローチに関しても、実験的というか意図的にヘンテコにしてる部分はあると思うんです。それ自体が悪いとは思いませんが、個人的にはあまりしっくり来ないというのが正直な感想で。

飛び抜けていい曲がある、それってかえってアルバムの評価にはマイナスなのかもしれませんね。ことスピッツのように平均値が高いバンドともなると。

15位『インディゴ地平線』(1996)

スピッツ / チェリー

ブービー賞は『ハチミツ』での大成功に続いて発表された『インディゴ地平線』です。

キャリアの中ではかなり脂の乗っている時期というか、人気バンドに仲間入りを果たした次なる一手という位置づけの作品なんですが……うん、アルバムとしてはハッキリ言って苦手な部類です。

1曲目の『花泥棒』なんて高揚感のあるイントロなんですが、その高揚感がイマイチ乗り切らないまま進行しているような印象でね。かなり高度な話ではあるんですけど。

アルバムのまとまりみたいなものも正直あまり感じられなくて、とっ散らかっていると表現してもいいんじゃないでしょうか。『』みたいな楽曲が象徴的ですけど、J-Popとして大成功しておきながらちょっと邪道なサウンドを展開していると思うんです。

なのに『チェリー』が入っているというチグハグさ。実際バンドとしてはアルバム収録に反対だったみたいな話もどこかで見たことがありますが、あそこまでバカ売れした曲を収録しない訳にもいかず。そこでアルバム作品としての評価が下がってしまうのはやはり残念です。夕陽が笑う、君も笑う』で締めた方が余韻があっていいと思いません?

14位『Crispy!』(1993)

スピッツ / 君が思い出になる前に

結構好きなアルバムだと思っていたんですが、この順位になってしまうスピッツの懐の深さたるや。第14位は『Crispy!』。

今回このランキング作成にあたってキャリアを追いかける形で全作品再聴しましたが、この作品って笑っちゃうくらい売れ線なんですよね。セルアウトする気満々で、アレンジが露骨というか。

シングル・カットされた『裸のままで』でなんてあけすけなホーン・セクションにスピッツらしからぬダンサブルなグルーヴですし、ヒットした『君が思い出になる前に』もこれまでの作品と比べると相当に聴きやすいキャッチーさがあります。

個人的には『夏が終わる』がとてつもなく好きですし、『多摩川』も初期とポスト『ロビンソン』を結びつける1曲のように思いはしますが、ここまで売れ線のアルバムにすることもないじゃないかと。

ただ、このセルアウト意識が結果的に『空の飛び方』、そして『ハチミツ』に繋がったと考えればスピッツの歴史の中では重要なアルバムなんですけどね。

13位『とげまる』(2010)

スピッツ / 若葉

個人的にこの位置にこの作品というのが信じがたいんですが、『とげまる』が第13位です。

何を置いても『若葉』というド級の名バラード、そして『恋する凡人』というド級のキラー・チューン、この2曲が入っている段階で個人的にはかなり好感度の高い作品ではあるんですよね。

ただアルバム全体として評価した時に、ちょっと散漫さが目立つというか、展開に苦しさを覚えるタイミングがいくつかあるように感じちゃったんです。

具体的に言うとアルバムのクライマックス、『若葉』と『君は太陽』の間に挟まれた『どんどどん』なんかがそうです。曲としては可もなく不可もなくといった具合なんですが、如何せん収まりの悪さがあると思うんですよね。

『スーベニア』の時にも言いましたけど、「いい曲、好きな曲があるからといって好きなアルバムとは限らない」という私の面倒な価値観が露骨に出ちゃった順位という感じでしょうか。

12位『スピッツ』(1991)

スピッツ / ヒバリのこころ

セルフ・タイトルのデビュー作、『スピッツ』がこの位置です。

いわゆる邦楽名盤ランキングみたいなもので、この作品って結構目にする機会が多いんですよね。スピッツ自体何枚もランキングに送り込むアーティストですけど、その中でも屈指の名盤という扱いみたいです。

ただ、個人的にはその評価の高さ、少し理解しかねる部分が正直あるんですよね。過大評価だ!とまで言いたい訳ではないんですが、ちょっと引っかかるというか。

思うに、洋楽的なアルバムなんですよねこの作品。ニュー・ウェイヴだったりネオ・アコースティックだったり、あるいはもっと端的にパンクだったり、そういう彼らのルーツがしっかり表現されているように感じます。

デビュー曲の『ヒバリのこころ』なんて結構パンキッシュですし、『夏の魔物』もゴリっとしたロックですから。それでいて『うめぼし』みたいな四畳半フォーク的佇まいすら見せる楽曲もあるというのがこの作品の面白さです。

でも、私の中でスピッツは最強の「邦楽」なので。そこのバランスというか、洋と邦、2つのエッセンスの配合が個人的にはちょっと咀嚼できていないということでこの順位にしておきます。

11位『惑星のかけら』(1992)

第11位は『惑星のかけら』。如何せん影の薄い作品というか、あんまりこの作品をフェイバリットに挙げる方を見かけることは多くない気がします。

実際私も高いとは言えないこの位置にランク・インさせましたが、それはそれとして好きな作品ではあるんですよね。

結構ロック成分強めのアルバムで、いきなり表題曲の『惑星のかけら』からバリバリのロック・チューンですしね。『ハニーハニー』のシャッフル・ビートも面白いし、『僕の天使マリ』の爽やか変態チックなメロディも初期スピッツらしい。というより、この冒頭3曲の並びがいいですよね。

アパート』という隠れた名曲にJ-Pop感溢れる『日なたの窓に憧れて』も収録して、結構隙がない作品なんです。

楽曲それぞれのシナジーも効いていて、すごく愛聴している作品ではあるんですが、楽曲単位でみると小粒な感も正直……ね?

第10位『見っけ』(2019)

スピッツ / ありがとさん

第10位に目下最新アルバムの『見っけ』。最新作にしては中途半端な位置ですけど、そこは忖度なしで。

前作『醒めない』がかなりフル・ボディなアルバムだった反動なのか、全体のトーンとして軽やかな作品だと思っているんですよ。というより、『楓』や『チェリー』みたいな説得力の強いポップ・チューンを恐らくは意図的に収録していないんではないかと。

朝ドラの主題歌になった『優しいあの子』だってスピッツらしいポップスではあるものの幾分あっさりしていますし、リード・トラックの『ありがとさん』なんて肩の力がまるで入っていなくて。オジサン・バンド、スピッツの新境地を思わせる作風です。

今挙げた2曲に限らず、好きな曲は結構多いんですけど、なんというか取り立てていい!って楽曲がパッと思いつくこともなく………これはこの作品の軽さにまだ私が対応できてない節があるだけなんですが。

もうすぐこのアルバムのツアー(厳密には新型コロナで中止になったツアーの振替のような名目ですが)があるので、そこまでには照準を定めたいところです。もしかしたらしれっと順位を上げているかもしれません

9位『空の飛び方』(1994)

スピッツ / 空も飛べるはず

第9位には1994年リリースの『空の飛び方』。『ロビンソン』で大ヒットする直前のアルバムですね。

次作はこのランキングでも上位必至のあの『ハチミツ』ということもあって、『惑星のかけら』同様スピッツのカタログの中ではかなり影の薄い部類です。

キャリアを追って1枚目から聴いていけば、如何にこの作品からスピッツが変貌しているかは明らかなんですよね。それを『ハチミツ』で結実させたというだけの話で、彼らの歴史の中で『空の飛び方』の意義は見過ごせないポイントですよ。

さっき指摘した「邦」と「洋」のバランス、そこが確立されたアルバムだと思っています。いわゆる「みんな大好きスピッツ」のイメージはこの作品からなんじゃないかと。

半分表題曲の『空も飛べるはず』だって、『白線流し』の主題歌に起用されるまでヒットしていない訳ですけど、裏を返せば注目さえされてしまえばド級のヒットを記録するポテンシャルがあったってことですからね。

それに『スパイダー』に「青い車』という人気シングルも収録されていて、楽曲の強さなら全然負けてないんです。アルバム曲だって『ラズベリー』みたいな佳作が揃っていますからね。

個人的なこのアルバムのハイライトは『不死身のビーナス』ですね、あの突き抜けるような爽やかさと「不死身のビーナス いつでも傷だらけ」というパンチラインがもう草野マサムネ節全開で大好きです。

とはいえ同じ路線である『ハチミツ』とは総合力で劣るのは事実というか、『ハチミツ』の方が聴く機会が多いんですよね……大ヒット前夜に相応しい予感に満ちた、色んな意味で発展途上な名盤です。

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