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スーパーボウル・ハーフタイムショーのベストアクトTOP5

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たまには最新のトレンドも扱いましょうか。今回特集するのは、スーパーボウルのハーフタイムショーです。

今年は初のヒップホップ・アクトということで、ドクター・ドレエミネムスヌープ・ドッグケンドリック・ラマーメアリー・J・ブライジという面々が出演します。

The Call | Pepsi Super Bowl LVI Halftime Show OFFICIAL TRAILER

アヴェンジャーズか何かかと言うほどクールなプロモーション・ビデオでも注目を浴び、チケットは過去最高額を更新したみたいですね。私もかなり期待しています。もう明日のことですけどね。

で、今回はこの世界最大規模の音楽興行でもあるスーパーボウル・ハーフタイムショー、ここで繰り広げられた数々のパフォーマンスの中でも抜きん出た名演を5つ、ランキング形式で発表していこうと思います。

1993年以来続く世界最高のショービズ、そのハイライトを今回はお届けしますよ。それでは参りましょう。

第5位 ビヨンセ (2013)

Beyoncé – Super Bowl 2013 Halftime Show HD 1080p

ビヨンセとスーパーボウルといえばブルーノ・マーズコールドプレイと共演した2016年の方が知名度はありそうですけど、彼女の素晴らしさがより堪能できるのはこの2013年のステージですね。第5位です。

今日ビヨンセが最重要のフェミール・アーティストとして支持されているのは、彼女の歌唱力や音楽的才能も勿論ですけど、その社会的なスタンスにあると思います。高潔なフェミニストであり、徹底した反人種差別主義者。そうした振る舞いが現在のアメリカの置かれる状況と共鳴し、彼女はますます輝いている訳です。

その「ビヨンセらしさ」が本当に至るところに感じられるんですよ。それはダンサーやバック・バンドを全て女性で構成するという主張にも表れているし、そのソウルフルな佇まいからもですね。本当にセクシーでアンタッチャブルな強靭さをこの時の彼女は纏っていると思いませんか?

音楽的にも『クレイジー・イン・ラヴ』『エンド・オブ・タイム』、この2曲続けてのパフォーマンスなんて鳥肌モノですよ。私は常々ビヨンセのことをMJの真の後継者だと思っているんですけど、ここまで個人の存在感で骨抜きにできるのはもう彼女しかいないでしょ。

それにデスティニー・チャイルドの再結成ですよ!登場の仕方はそれこそモロMJリスペクトで笑っちゃうんですけど、ここまで仕上がっているビヨンセと共にステージに立つと「オマケ」になりかねないでしょ?でもしっかり「デスティニー・チャイルド」のパフォーマンスになっている。ケリーとミッシェルも流石です。

そして最後は一人で『ハロー』をこれ以上なくパワフルに歌い上げます。この曲本当に大好きなんですよね。ややハードなアレンジになっていたのが意外でしたけど、彼女の歌唱力が中心にある曲ですから軸がブレていない。打ちのめされる絶唱です。

ここまで一大スペクタクルなのに、意外にもステージ全体の展開はアッサリしているのも美しいじゃないですか。ショーとして成立するさじ加減を心得ているというかね。ポール・マッカートニーやストーンズの場合「もっと観たい!」となってしまうんですけど、「ハーフタイムショー」のフォーマットではこの清々しい潔さをこそ私は評価したいです。

第4位 ブルース・スプリングスティーン&E・ストリート・バンド (2009)

Bruce Springsteen – Superbowl Halftime Show HD 2009 XLIII NFL

で、マッカートニー御大やストーンズを例に挙げたばかりで大変恐縮ですが、いわゆる「ロック・ゴッド」の中ではこの人のパフォーマンスが頭一つ抜けています。「ボス」ことブルース・スプリングスティーンのステージですよ。

「テレビの前の紳士淑女諸君、今から12分間、E・ストリート・バンドの最高で最強のパワーをあんたらのイカした家に届けてやるからな!ワカモレのことなんてどうでもいいだろ、チキンを食おうとしてるその手をおろして、テレビの音量を最大にしてこい!」

還暦のジイさんとは思えない強烈な宣言で開幕する段階で、このステージが比類ないエネルギーに溢れたものになるのは確定でしょ。とてつもない貫禄と説得力、これこそアメリカン・ロックの真打ですよ!

この宣言に違わず、パフォーマンスの内容もとにかくタフで。ボスがとにかく動く動く。声もどこから出てるのかわかんないくらい無尽蔵で、年齢なんてまるで感じさせません。しかも演出らしい演出はなくて、スケールが巨大になり続けるスーパーボウルにバンドの実力とボスのカリスマ、そしていい曲だけで乗り込む不敵さがもう最高じゃないですか。

そして過剰な演出が全くないからこそ、スーパーボウル史上最もフレンドリーなハーフタイムショーにもなっていますね。観客との距離感がとにかく近い。オープニングの『凍てついた十番街』での触れ合いなんて、まるでストリート・ライヴのようです。

この人のライヴって破茶滅茶にボリューミーなことで有名じゃないですか。4時間のギグなんて平然とこなしちゃう人ですから。だと言うのに、12分で物足りないという感覚に全くならない。ちょうどお腹いっぱいになったところで『グローリー・デイズ』でフィナーレですからね。

4時間のコンサートを12分に詰め込んだとなれば、そりゃあホットになるのも無理ないですよ。とにかくシンプルで、それ故に最高という、ハーフタイムショーの歴史の中である意味異色の名演ですね。

第3位 U2 (2002)

U2 Superbowl 36 halftime performance where the streets have no name HD

第3位には史上最高のハーフタイムショーの一角に挙がることも多い、2002年に行われたU2のギグですね。

そもそもがU2なんて、20世紀を代表するライヴ・バンドな訳です。ボノのタフなヴォーカルのスタイルや楽曲の持つ壮大さは実にスタジアム向け。ただ、このパフォーマンスを史上最高との地位に押し上げているのはそれだけではありません。

当時のアメリカは、前年に引き起こされた9・11同時多発テロの傷跡が未だ癒えない状況下にありました。多くの罪なき人々の命と国家の尊厳を凄惨にも吹き飛ばされた、その只中のアメリカ全土に向けてパフォーマンスするという重責を、U2は見事全うしたんです。

それを象徴するのがラストに演奏された『ホエア・ザ・ストリート・ハヴ・ノー・ネーム』

バックにテロの犠牲となった人々の名前を映し出し、ボノが聖書の一節を口にする中、あのディレイ・サウンドがフェード・インしてきます。

そこからの力強さといったら!ヘヴィな状況に真摯に立ち向かい、その上で鼓舞してみせる。ジャケットの裏地に縫い付けられた星条旗を高らかに示し、「It’s all we can do(これが僕たちにできる全て)」(原曲では「It’s all I can do」)と言い切ってみせるそのアピールは、U2にしかできないものでしょう。

U2は元々政治色の強いアーティストですし、その点を嫌う方がいるのも理解しています。ただ、その上で、2002年のスーパーボウル・ハーフタイムショーはU2にしか務まらなかったと断言できますね。こんなにピュアなトリビュート、そうできたものじゃないですから。

第2位 マイケル・ジャクソン (1993)

Michael Jackson Super Bowl 1993 Performance HD

……1位にすると思ったでしょ?ところがどっこい今回は冷静にいきますよ。第2位はマイケル・ジャクソンです。

スーパーボウル・ハーフタイムショーへの大物アーティストの出演、その慣例を作ったのが他ならぬこのマイケル・ジャクソンのステージなんです。ちなみに出演者はノーギャラというのも、MJが出演料を全額寄付したことから始まった伝統です。

とまあ、そういうパイオニア的な評価は傍に置くとして。やはり「キング・オブ・ポップ」「史上最高のエンターテイナー」の称号は伊達じゃない。本当に素晴らしいステージです。

グラウンド後方から瞬間移動したかと思えば、仁王立ちで微動だにせず。「デンジャラス・ワールド・ツアー」のオープニング演出の流用ですが、数多あるショウビズの中でも、単なる「静止」をエンターテイメントにしてしまえるのはおおよそ彼だけですね。

そこからは『JAM』、『ビリー・ジーン』、『ブラック・オア・ホワイト』と最強のヒット・パレードです。『ビリー・ジーン』以外は当時の最新作『デンジャラス』収録の新曲で、しっかりプロモーションしてる辺り抜け目ないですが。

そして大勢の子供たちを引き連れ、『ウィ・アー・ザ・ワールド』のコーラスと共に世界平和のメッセージを訴えた後、『ヒール・ザ・ワールド』でフィナーレ。初のハーフタイムショーでここまで壮大で練り上げられたパフォーマンスをしてみせるのは、ちょっと卑怯なくらいで。

これまたすごいのが、現在のハーフタイムショーで見られる絢爛豪華な照明やステージ効果というのはほとんど用いられていないんですよ。当時の技術的にも厳しいでしょうし、まさかここまで歴史あるものになるとは誰も思っていないでしょうから。『ウィ・アー・ザ・ワールド』での演出以外は、彼のパフォーマンスとしては控えめと言ってもいい。

だというのにこの迫力。目が離せなくなる圧倒的なエンタメ性。それはひとえにマイケル・ジャクソンの才能故です。これを超えるステージがある?そんなバカな、MJと肩を並べ得る才能なんてプリンスくらいなものなのに。

第1位 プリンス (2007)

Prince – Super Bowl XLI 🏈 | Halftime Show 2007 FULL SHOW HD

下手な前振りの通り、栄えある1位はこの人に捧げましょう。2007年に行われた、「殿下」ことプリンスのステージです。

これを超えるステージ、多分ハーフタイム・ショウに限らずともそう多くないでしょうね。それこそクイーン「ライヴ・エイド」や、ザ・ビートルズ「屋上コンサート」にも匹敵し得る奇跡的なアクトです。

開幕を告げるのはクイーンの『ウィ・ウィル・ロック・ユー』。クイーンとプリンスなんて縁もゆかりもなさそうですが、この曲はもはやクイーンの元を離れてスポーツ・アンセムとして最大級ですからね。プリンスはしっかりと「スーパーボウル・ハーフタイムショウ」に出演することに自覚的です。

そこから叩きつけられるのが『レッツ・ゴー・クレイジー』。プリンスらしい艶めかしくも躍動感のある奇妙なファンクネスが心を鷲掴みにしてくれますね。ただ、これはこのパフォーマンスの序章に過ぎません。

ヒット曲『1999』のイントロが鳴り響いたかと思えば、続けざまに『ベイビー・アイム・ア・スター』をクールなアレンジでドロップ……するも束の間、突如CCRの『プラウド・メアリー』をソウルフルにデュエットし、そこから『見張塔からずっと』でジミ・ヘンドリックスに迫るとびきりブルージーな泣きのギター、さらにはフー・ファイターの『ベスト・オブ・ユー』でアグレッシヴにロックしてみせる……なんですかコレは。

ここに私はプリンスという表現者の真髄を見ましたね。彼は「なんでもできるアーティスト」の代表格ですけど、その変幻自在っぷりが炸裂しています。ファンク、ソウル、ブルース、ロック、その全てをプリンスのスタイルに染め上げる絶対的な個性を、とてつもないエンタメと共に見せつけてくるんですから脱帽ですよ。

プリンスなんてフランク・ザッパに勝るとも劣らないポピュラー音楽有数の多作家でしょ?このステージに相応しいヒット曲はいくらでも持っているはずなんですけど、あえてカバー主体で、言い方を選ばなければ媚びたパフォーマンスをする。実にプロフェッショナルです。

ただ、これでもまだ終わらない。プリンスという表現者の特質の中でも最大のもの、「プリンス」をまだ十全に表現していませんから。ただそこは流石の殿下、抜かりありません。代表曲『パープル・レイン』でフィナーレを迎えます。

雨が降っているのも実にニクいですね。驚くべきことに、スーパーボウルで雨が降るのは2007年が初めてらしいんですよ。しかも、ハーフタイムショーのセッティング中にいきなり降ってきたというんです。殿下ほどにもなれば天候を操ることなんて造作もないということでしょうか。

雨に濡れながら、プリンスはオーディエンスにこう言い放ちます。「Can I play this guitar?(ギターを弾かせてもらうよ)」。そこからの怒涛のギター・ソロたるや……あまりに神秘的で、官能的で、エモーショナル。

いくらMJシンパの私でも、このステージより上だとはちょっと言えないです。それくらい圧倒的、才能の塊に飲み込まれるような、他の誰にも真似できない絶対的なベスト・アクトです。

まとめ

(絶対にスーパーボウル前日には投稿したいという意志だけで書き殴ったことは内緒)

さあ、今回はスーパーボウル・ハーフタイムショーTOP5をやってみました。

他にも選びたいものはいくつかあったんですけどね。エアロスミスを中心に乱痴気騒ぎを繰り広げた2001年や、ブルーノ・マーズとレッド・ホット・チリ・ペッパーズの共演が話題を生んだ2014年、レディー・ガガやマドンナのステージも見応え十分ですね。

ただ、今回挙げた5つはショウとしてちょっと別格というか。その中で「ボス」だけ方向性はやや違うにしろ、アメリカという国の音楽産業の底力を見せつけられる思いです。もうUK好きとは口が裂けても言えません。

そんな中、明日はドレ一門が盛大にやってくれるでしょうからね。一体どんなステージになるのか、本当に楽しみです。それではまた。

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