「ロックって結局何なの?」
音楽を聴き始めた時に誰もが抱くこの疑問。
「音楽に興味がある!これから色々な音楽を聴いてみたい!」
そんな人がネットでオススメの音楽を調べる時にぶち当たるのが「専門用語の多さ」だと思います。
この記事ではそんな音楽初心者に、専門用語の意味、そして実際にどんな音楽なのか、そういった基本の「き」を解説していこうと思います。今回はロックとは何か?そしてロックの様々なサブジャンルに関して。
ロックって何?
はい、まずはこっからです。「ロック」って何?というところ。自分で書き出しといてなんですけど無茶苦茶難しい命題ですねコレ。
ロックとは
「ギター、ベース、ドラム、ヴォーカル(時にはキーボードや管楽器、その他の弦楽器を含む)で構成されるバンド形態のポピュラー音楽」
と認識しておいてください。要するにバンドでやってればロックです。コレが一番手っ取り早いかなと。
ただ、問題はここからで。ロックって果てしなくサブ・ジャンルが多いんですよ。このブログでも「ロック」なんて表現をストレートに使うことは稀で、もっと限定的なジャンルの名称を持ち出すことの方が多いですから。
ここからはロックのサブ・ジャンルの中について個別で見ていきますね。
①ハード・ロック
まずはハード・ロックに関して。
ハード・ロックとは
「ギターやヴォーカルを主役とし、パワフルで大音量の演奏で進行する激しいロック」
です。
日本人が「ロック」と聞いて連想するのはこのジャンルのことが多いでしょうね。ギター・ソロがバーン!高音ボーカルがズドーン!みたいな。B’zとか正にコレですよね。
曲としてはこんな感じです。ハード・ロックを創始したバンド、レッド・ツェッペリンの『移民の歌』をどうぞ。
この爆音でとんでもなくまっしぐらに突き進むイメージ、コレがハード・ロックだと思ってもらって大丈夫です。
②プログレッシヴ・ロック(プログレ)
ようわからん、複雑な音楽のことをよく「プログレっぽい」なんて言いますけど、コレはハード・ロックと共に1970年代に人気を博したジャンル、プログレッシヴ・ロックっぽいということです。
さて、プログレとは、
「ジャズやクラシックをロックに取り入れ、難解なテーマや複雑な構成を特徴とするロック。大作の傾向があり、1曲が10分以上だったりアルバムに1曲のみということもしばしば。ボーカルの登場しない楽曲も当然のように存在する。」
こういう音楽性です。この説明が既にややこしいですか?もっと噛み砕くと
「なんかようわからん、長くて複雑で壮大で難しそうなロック」
ということです。自分で書いといてこんな音楽の何がいいんだとなってしまいますが、コレがいいんですよ。
実際に楽曲を聴いていただいた方が早いかもしれませんね。アニメ『ジョジョの奇妙な冒険』のEDで注目を浴び、ネット・ミームになった感もあるイエスの名曲、『ラウンドアバウト』をご紹介しておきましょうか。
どうです、普通じゃないでしょ?この「なんじゃコレ」感、それがプログレです。コレでも一応相当聴きやすい部類なんですよ……
(プログレをもっと聴いてみたい!という方にはコチラもオススメ!)
③パンク
パンクってのもよく聞くジャンルですよね。アレもロックの一部なんですが、コレまた言語化が難しい。
ひとまずお答えしておくと、パンクというのは
「とにかくストレートなロック。メッセージ性が強く、個人の感情やフラストレーションをぶつけた荒々しさや過激さが特徴的」
こんなところでしょうかね。日本でいうとTHE BLUE HEARTSなんて正にパンクですよ。
ロンドン・パンクの代表的バンド、セックス・ピストルズの『ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン』を聴いてみましょう。
モヒカン頭で如何にもガラの悪そうなあんちゃんが過激なロックをやる。こういうイメージが一般的なパンクでしょう。
ただ、実はパンクってコレだけじゃないんですよね。
そもそも売れ線に走るロックへのカウンターという意味が強くて、パンク発祥の地ニューヨークではもっと複雑だったり芸術的だったりするパンク・バンドもたくさんいます。
ただ、あくまでこの企画は一般論で解説していきますから。結構多義的な単語なんだなってことは頭の片隅に入れつつ、とりあえずは「過激でストレートなロック」だと思ってもらえれば。
④メタル
メタルはロックの中でも異質というか、一人歩きして独自の発展を遂げたジャンルなんですよね。とはいえ人気の高いジャンルでもありますし、解説しておくべきでしょう。
メタルとは
「ハード・ロックやパンクの激しさから発展し、高速のギター・プレイや重たいリズムを特徴とするロック」
のことです。
髪が長くてヒゲが生えてて、おまけにタトゥーも入れてるようなコワモテの男が頭振りながらギターを弾き倒している。アレがメタルのものすごく大まかなイメージ。
メタルで最大の成功を収めた世界的バンド、メタリカの代表曲『メタル・マスター』(余談ですけどメタル界隈のセンスはかなりダサい独特です)を聴いてもらえればそのイメージにぴったりハマるのではないかと。
こういう感じです。如何にもって感じですね。
ハード・ロックとメタルって結構混同されがちだと思うんですけど、実際に聴いてもらえるとその違いってのは聴き取れるのではないかと。
⑤サイケデリック・ロック(サイケ)
サイケってのもいろんな音楽を表現する時に使う言葉なんですが、これも「サイケデリック・ロック」というジャンルの名前から生まれた表現です。
サイケとは
「LSDのようなドラッグを服用することで感じる幻覚や陶酔感を、ロックによって表現したジャンル」
でどうでしょう。
要するにおクスリキメちゃってる系の音楽です。これ言うと一気にヤバさが増すかと思いますが、このジャンルが生まれた1960年代には、まだLSDは違法薬物ではなかったことは知っておいた方がいい情報でしょうか。
で、サイケを象徴する1曲って結構難しいんですが、ここは極めて無難にザ・ビートルズでいきましょう。そう、あのザ・ビートルズもサイケに挑戦しているんですね。中期の傑作、『ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー』をお聴きください。
どうです、『ヘルプ!』や『レット・イット・ビー』のイメージとはかなり異なるでしょ?この不気味なムードこそ、サイケデリック・ロックの退廃的な特質をよく表していると思います。
(サイケをもっと聴いてみたい!という方にはコチラもオススメ!)
⑥グラム・ロック
この辺からマニアックになってきますかね?何?プログレが十分マニアック?ハハハ、まさかそんな。
グラム・ロックはハード・ロックやプログレと同じ時期、1970年代に流行したジャンルです。音楽性を一言で表すと
「怪しげかつゴージャスなサウンドが特徴的な、ギラついた質感のロック。メイクや奇抜な衣装というパフォーマンスも重要な性質。」
ってとこでしょうか。
実際に聴いていただくのはコレでしょう。グラム・ロックといえばこの人、マーク・ボラン率いるT・レックスの名曲『20センチュリー・ボーイ』を。
動画自体は静止画ですけど、この白黒の写真からでもわかるギラギラしたセクシーさったらないですよね。それでいて実はポップというのもグラム・ロックの典型です。
⑦オルタナティヴ・ロック(オルタナ)
何度も知り合いに聞かれた質問です。
「オルタナティヴ・ロックって何?」
とにかくなんでもかんでもオルタナなんですよ。ニルヴァーナもレディオヘッドもレッチリもコールドプレイも、もう1990年代以降のロックってとにかく「オルタナティヴ・ロック」と呼称されがちです。
一旦オルタナについて説明しておくと
「既存のロックのカテゴリに当てはまらない、精神性を重視したアンダーグラウンドなロック」
です。これでしっくりくる人がいないことなんて分かり切っているので。もう少し深く突っ込んでみます。
さっきパンクの説明の時に「売れ線に走るロックへのカウンター」ということをチラッと言いました。
その流れを大まかには汲んでいるんですよ。つまり、既存の枠組みに囚われない、独創的で大衆に媚びない姿勢。これがオルタナの本質です。
だからそもそも「オルタナティヴ・ロック」とくくることが問題なんですよね。枠組みに当てはまらないものに枠組みを与えるという、とんでもなく矛盾した行為なんですよ。
ただまあ、すっかり人口に膾炙した概念ではありますし、音楽評論でも頻繁に使う語彙ではあるので……
イメージを持ちやすくするためにいくつか楽曲の例を出しておきますが、これは本当にわかりやすい部分だけです。「これがオルタナ!」っていう説明ではないことはご理解ください。
さあどうです?この3曲はどれも「オルタナ」なんですけど、同じジャンルとは思えませんよね?
とりあえず、それ以前のロックに当てはまらないジャンルならとりあえず「オルタナ」と呼べるんだ、これくらいの理解で結構です。
⑧インディー・ロック
最後にインディー・ロックについて説明しておきましょう。
インディー・ロックとは
「芸術性や独創性を重視し、メジャー・レーベルと契約せずインディー・シーンで活躍するロック」
です。
日本でもよくデビュー前のバンドを「インディーズ」って言うじゃないですか。要はアレと同じで、デカイ事務所と契約することはなく、自主的な音楽制作に意識が向いているというイメージです。
で、これもオルタナ同様音楽性を指す言葉ではなく、アーティストの指向についての定義なので。一口にインディーと言ってもその音楽性は結構バラバラです。
例えばコレ
もインディーだし、
コレもインディーです。さあ、どうです?別物でしょ?
ただまあ、ある程度同じ精神性を持っているジャンルではあるので。通奏低音としてのまとまりはあるのかなと。インディーを熱心に追いかける方も多いですからね。
(インディーをもっと聴いてみたいという方にはコチラもオススメ!)
まとめ
今回はこんなところで。本当なら音楽ジャンル全般について紹介したかったんですけど、ロックだけでこんボリュームですから。第2弾に譲ろうかと思います。
タイトルにもあるんですけど、音楽を「なんとなくいい」で終わらせるのってすごくもったいないと思っているんですよ。
「いい」には絶対に理由があるし、その「いい」を自分の中である程度体系立てておくことは必要な作業なはずです。
で、そのためには知識は最低限必要になるんですよね。それは音楽史の知識だったり、あるいは音楽理論だったり、もっと言えばその音楽の生まれた当時の社会背景だったりします。
でも、もっと根本的な部分、音楽に対する語彙というのも当然重要で。そこのところをこの記事、押してこのシリーズで補強していければきっと誰かの役に立つのではないかと思っています。押し付けがましいですか?
さて、次回はロックから離れまして、その他のジャンルに関して見ていければと。ゆくゆくは他の音楽用語にも手を出していきますのでご期待ください。それではまた。
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