先日Twitterで面白い企画が立ち上がっていましてね。
ここ数年Twitter上でにわかに活気付いているユーザー参加型の名盤ランキング企画、その70’s版です。
如何に新譜のレコメンドを毎週やってナウでトレンディな音楽ファンを気取ろうと、この私の音楽的な軸足が70’sにあることは隠し立てできない事実です。この企画に参加しない理由なんて当然ありません。
投票は既にTwitterで済ませたんですけど、最も愛着のある時代の中から厳選した40枚ですから、それぞれに当然思い入れがある訳で。今回は票を投じた作品に関するあれやこれやをダラダラと表明していきたいと思います。
ピエールの40枚
まずは私が選んだ40枚は以下の通り。
- Close To The Edge/Yes
- The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars/David Bowie
- A Night At The Opera/Queen
- Marquee Moon/Television
- Aja/Steely Dan
- The Stranger/Billy Joel
- Larks’ Tongues In Aspic/King Crimson
- Off The Wall/Michael Jackson
- John Lennon/Plastic Ono Band/John Lennon
- Wish You Were Here/Pink Floyd
- Pearl/Janis Joplin
- IV/Led Zeppelin
- Who’s Next/The Who
- SPACY/山下達郎
- Songs In The Key Of Life/Stevie Wonder
- Pink Moon/Nick Drake
- Thick As A Brick/Jethro Tull
- Station To Station/David Bowie
- Hotel California/Eagles
- Band On The Run/Paul McCartney & Wings
- 一触即発/四人囃子
- Brain Salad Surgery/Emerson, Lake & Palmer
- Tapestry/Carole King
- Master Of Reality/Black Sabbath
- MISSLIM/荒井由実
- Boston/Boston
- All Things Must Pass/George Harrison
- Taï Phong/Taï Phong
- Rumours/Fleetwood Mac
- The Köln Concert/Keith Jarrett
- FLAPPER/吉田美奈子
- Berlin/Lou Reed
- TAKE OFF (離陸)/チューリップ
- Out Of The Blue/Electric Light Orchestra
- Third/Big Star
- Foxtrot/Genesis
- Look At Yourself/Uriah Heep
- Rocks/Aerosmith
- Sticky Fingers/The Rolling Stones
- Bridge Over Troubled Water/Simon & Garfunkel
「ただただ好きな40枚」
さて、こっからは選考基準ですね。これはものすごくシンプルで、「好きなアルバム40枚」というだけの話なんですよ。
今までこのブログで散々っぱら偉そうな講釈を垂れてきて、やれ批評的にどうだやれ後続への影響がどうだとのたまってきましたが、もう今回ばかりはそんなものはシカトしてやりました。
だって、私がどれだけこねくり回して「批評」たり得るそれらしい40枚の序列を作ったとしても、ユーザー参加型というフォーマットではその序列はほぼほぼ意味をなさないじゃないですか。
そこでいきがってみせたところで、かえって投票結果にとっては不健全になりかねない。皆さんが「好き」という気持ちで選んだ作品群に、スノッブな価値観は不要。そう考えての判断です。
それに最初にも書きましたけど、1970年代って私にとって本当に大事な瞬間なんです。私の音楽体験の原風景と言ってもなんら過言ではない、そんな時代。であれば、ここはかつてのピエール少年に立ち返って参加するのがこの企画へのマナーだろうと。
とはいえ、音楽に出会って10年以上は経っているので。ただただMJとクイーンとビートルズとプログレを偏愛していた捻くれキッズのままでもいられないんですよね。なので「自分ってこういう作品が好きだよね」みたいなものを軸に選んでいきました。いわば、私の音楽趣味/リスニングの上での哲学をつまびらかにするような、そんな選出でもある訳です。
結局「ポップス」が好き
で、その音楽趣味とやらなんですが、ちらほらハード・ロックが登場したり、やたらプログレが元気だったり(これは後述します)、そういう部分はありつつも基本的にポップスが多い結果になりましたね。
TOP10にはスティーリー・ダンとビリー・ジョエル、そして我が心の師ことマイケル・ジャクソンが入ってきましたし、元ビートルズの3人もしっかりとランク・イン。そこと関連して、「世界一のビートルマニア」ことジェフ・リン率いるELOも登場しています。
他にもスティーヴィー・ワンダーやフリートウッド・マック、あるいはキャロル・キング、この辺りはリリース当時のセールスも巨大で、「いいポップス」の代名詞的なアルバムですよね。あとはちょっと捻ってビッグ・スターの3rd。この作品で聴けるメロディ、70’sでも屈指のクオリティだと信じています。
それに邦楽も、四人囃子を除けば総じてメロディアスな作品でしょ?チューリップなんて、それこそさっきのビートルズ絡みの話題からでも選び得る完成度のアルバムです。ユーミンとタツローは言わずもがな、吉田美奈子だって楽曲提供してるの、大滝詠一や細野晴臣、矢野顕子という日本のポップスで考え得る最高の布陣ですからね。
どれだけ小難しい話をしたところで、根っこはポップス好きなんだなぁというのを改めて痛感する並びでした。それってすごく大事なことだと思うんですよね、胸を張ってビリー・ジョエルが好きと言える、その素直さは失っちゃいけないものでしょうから。
プログレ好きとしての意地
もう少し選出したジャンルに関して補足すると、ロックはほとんど全てパンク以前からチョイスしています。現代的な批評や感性からするとちょっとロートルではあるんですが、「ただただ好きな作品」という基準にした以上、自分に嘘をつかないようにした結果です。
その中でもプログレの存在感って私の中ですごく巨大で。この曲者に出会ったがばっかりに私の人生は大きく狂いましたからねぇ……どうせ狂ってるならいっそ、今回はプログレに9枠を大盤振る舞いしてみました。
いわゆる「5大バンド」は順当に選出して(フロイドで何故『炎』なのかというと、私は『狂気』をプログレだとは思っていないからです)、加えてジェスロ・タルにユーライア・ヒープとハード・ロックの風味もする2バンド、そしてイギリス以外のプログレではフランスのタイ・フォンと我らが四人囃子というラインナップです。
欲を言えばキャメルやマイク・オールドフィールド、バンコにイ・プー辺りのイタリア勢、それからクラウトロックも選びたかったんですけどね。一応プログレ以外にも大好きな作品はいっぱいあるので、涙を飲んでこの9枚。
「1アーティスト1枚まで」とデヴィッド・ボウイ
もう少し選考内容に突っ込んでいきましょうか。実はこの企画に参加する上で、「1アーティスト1枚まで」というルールを独自に追加してみたんですよ。
発案者の方が設定したルールでは「1アーティストにつき3枚まで」という制限が既にあるんですが、それをより厳しくした感じですね。
何故そんなドMなことをしたかというと、そうでもしないとクイーンやZEP、それにクリムゾン辺りのバンドが3枠を確実に食い散らかすから。それってランキングとしてちょっと不健全な気がするんですよね。
なので断腸の思いで『クイーンII』や『フィジカル・グラフィティ』、『レッド』なんかは選外になったんですが……1人だけこのルールを破らざるを得ないアーティストがいまして。その人こそ、デヴィッド・ボウイ。
いや、仕方ないでしょ。この人そもそも名盤多すぎるし、方向性が毎度毎度違うせいで「この1枚!」とするのが難しすぎる。そりゃ『ジギー・スターダスト』は選びますけど、他の作品をスルーというのも正直なチョイスではない気がしますし。
ということで、『ステーション・トゥ・ステーション』もランク・インさせることにしました。これでも相当我慢した方ですよ、『ハンキー・ドリー』も「ベルリン3部作」も頑張って無視したんですからね笑
実は最多登場は山下達郎
さっきの話と微妙に関連してるんですが、名義で言えば唯一の複数回登場はボウイなんですけど、複数作品に関与した人物ならば他にも何人か該当するんですよ。
洋楽であれば、リンゴ・スターとビル・ブラフォードが複数作品に参加していますね。リンゴはかつてのバンドメイトのソロ作、『ジョンの魂』と『オール・シングス・マスト・パス』でプレイしているし、ブラフォードは『危機』と『太陽と戦慄』、私がとりわけ偏愛するプログレの傑作2枚に参加。
面白いことに、私がドラマーとして特に尊敬する2人なんですよ。意図せずとも彼らへの愛着がラインナップの中に表れてくれたというのは、個人的にニヤリとする結果でした。
ただ、実は唯一3作品に関与している人物がたった1人だけいるんです。ボウイやリンゴ・スターより多いんですよ。それというのが、山下達郎。前回のポストに引き続き、ご足労いただいた訳ですね。
タツロー名義の音楽作品としては『SPACY』のみですし、シュガー・ベイブは今回選んでいないんですけど、ユーミンの『MISSLIM』にはコーラス・アレンジで参加していますし、吉田美奈子の『FLIPPER』には楽曲を提供しています。(実は細野晴臣もこの2作品に参加しているので、彼も複数回登場ですね)
山下達郎の音楽をまともに取り合ったのって実はこの1〜2年なんですけど、既にこれだけ私の中で大事な存在になっているというのはちょっと驚きですらありますね。しかも、彼の全盛期って80’s以降じゃないですか。70年代という制約の中ですらここまで顔を出すって、よっぽど好きなようです。
まとめ
さて、今回は#70年代ベストアルバムランキング100に参加したにあたっての諸々をお届けしました。
この企画に参加するには70年代を再度聴き返す必要がある訳で、そうなると新譜を聴く時間は必然的に減る訳で、「オススメ新譜5選」を立て続けに休んでしまったのはそういう側面もあったりします。
ただ、やっぱりいいもんですね。慣れ親しんだ名盤の数々を、改めてじっくりと慈しむ、この作業を怠っちゃあいけません。
本文でも書きましたけど、今回ばかりは面倒くさい考察やら意義立てやらは放棄していますから、頭を空っぽにして「どれくらい好きか」だけで音楽に向き合う。これこそ最もピュアな音楽体験ってもんです。
もちろん結果発表も楽しみですし、Twitterで皆さんの投票内容を見ているだけでワクワクしちゃう素敵な企画なんですけど、一個人としてはもう既に満喫した気分です。この投票に至るまでに、1970年代をたっぷり堪能できたという意味でね。
で、1970年代はもう堪能できたので。次回は2022年上半期の新譜ランキング、やっていきますよ。こっちもこっちでお楽しみに。それでは次回。
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