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21世紀最大の音楽イベント、ロンドン五輪開閉会式の名演5選

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現在2021年の5月末、いまだに東京五輪に関するあれこれの議論が紛糾しています。コロナさえなければなんの問題もなく開催できただろうに、誰へでもなく恨み言を言いたくなりますね……

そんなオリンピックですけど、もちろん各国の代表選手の熱い戦いも見所ですがこっちも気になるという人多いんじゃないでしょうか?開閉会式です。

もう最近では完全に国の威信をかけたエンタメ合戦の様相を呈しつつありますけど、一国が総力を挙げて生み出すエンタメとだけあってクオリティは毎回折り紙つきです。

そんな中で、この音楽ブログ的に過去最高の開閉会式は2012年のロンドン五輪。いやもうホントにとんでもないですよ。イギリスという歴史的大国が育んだカルチャーを余すところぶつけてくるんですからとんでもないに決まっているんですが。

女王陛下はジェームズ・ボンドを伴ってヘリから会場入りシェイクスピアメアリー・ポピンズハリー・ポッターモンティ・パイソンからMR.ビーンまで、もうなんでもありです。

そんな中で、やっぱりイギリスといえば音楽ですよ。クラシック音楽やジャズの世界では影が薄いですけど、ポピュラー音楽なら世界最大規模ですからね。その強みをドヤ顔でぶつけまくる、もうほとんど音楽フェス状態でした

今回は、そんなロンドン五輪開閉会式での数々の音楽パフォーマンスを5つご紹介していきます。それでは参りましょう。

選手団入場

The Complete London 2012 Opening Ceremony | London 2012 Olympic Games

いきなりここからです。開会式での選手団入場。どの五輪でもある、別にエンタメ性のない部分だと思う人が大多数でしょうけど、ロンドン五輪はここから本気です。上の動画でいうと1:30:20頃からです。

まず、選手団入場のBGMがいちいちイギリス産音楽のヒット・パレードなんですよね。アデルビー・ジーズELOともう流石の面々。(ちなみにU2も流れてるんですけど、アイルランドは遥か昔に独立したはずじゃ……?まあ文化的には縁の深い国ではありますが)

で、五輪の選手団入場のしんがりは開催国の選手が毎回務めるんですが、ここで毎回鳥肌立つんですよね。何しろ、イギリス選手団入場の瞬間に、それまで流れてた楽曲ぶった切ってデヴィッド・ボウイ『ヒーローズ』が流れるんですから。(3:04:00頃からです)

イギリスが誇る世界的アーティストなんて言い過ぎじゃなく山ほどいるじゃないですか。ザ・ビートルズはその代表だし、他にもクイーンだってツェッペリンだっている。その中から、デヴィッド・ボウイを開催国の象徴としてチョイスするセンスの良さ。洋楽ファンなら魂が震えると思います。

また『ヒーローズ』ってのがね……サビの名文句、

We Can  Be Heroes, Just For One Day
(僕らは英雄になれるよ、1日だけならね)

コレがもうオリンピックと完璧に合うじゃないですか。各国の代表たる選手団、彼らは五輪という舞台で英雄になれるんだ。こんなに鼓舞されるメッセージってないと思うんです。またそれを自国の選手団の時に流しちゃうイギリスのナルシシズムみたいなところもカッコイイんですよね。日本人でも思わず大英帝国万歳!と叫びたくなります。

開会式エキサイティング

コレも特定のアーティストのパフォーマンスという訳ではないんですが、間違いなく最高ですのでご紹介しておきます。1つ前の動画、1:01:45頃からですね。

イギリスのポップ・カルチャー史をドラマ仕立てで振り返るパフォーマンスなんですけど、もう音楽ファンならニヤニヤしっぱなしの演出なんですよ。

ザ・フーにストーンズ、キンクスときてザ・ビートルズ、いわゆる「イギリス4大バンド」を畳み掛けて、続けざまにツェッペリン、ボウイにクイーンと時代は70’sへ。挙げ句の果てにはセックス・ピストルズまで流れるんですよ。女王陛下の御前で、ですよ。

そこからニュー・オーダーやゲイ・ソングの『リラックス』、プロディジーみたいなアングラな音楽もしっかり入れ込んできます。近年の音楽だってディジー・ラスカルにエイミー・ワインハウスにミューズともうなんでもあり。そしてシメはインターネットの生みの親、ティム・バーナーズ・リー。もうひれ伏すしかないです。

音楽だけじゃなくステージも実に凝っててですね。フレディ・マーキュリーの市松柄全身タイツ着てる人がいたり、ジギーの格好した人がいたり、全身全霊で自国のカルチャーを自慢してくるという清々しさ。文化が豊かなイギリスならではのパフォーマンスです。

ポール・マッカートニー

Paul McCartney – Hey Jude – Live At London 2012 | Music Monday

開会式のトリを務めたのはこの人、生きる伝説ポール・マッカートニー。閉会式の大トリでも良さそうなもんですが、イギリスにはトリ任せたら最強の連中がいるので……その話はまた後でしますが。

歌う曲はもちろん『ヘイ・ジュード』。その前にイントロとして『ジ・エンド』を軽く演奏するんですけど、開会式で『ジ・エンド』ってね。まあ文句なくいい曲なんですが、閉会しちゃいそうな空気感がムンムン流れてます

で、このマッカートニーの演奏にはちょっとした伝説があってですね。ここまで巨大なステージですし、何よりマッカートニーは高齢ということもあって、リップシンク(口パク)で演奏する予定だったらしいんですよ。

それをなんとこのおじいちゃん、本番で口パク拒否。事前の録音が流れる中何事もなかったかのように生歌で歌い始めます。カッコよすぎませんか?「ナメんな!」というポール・マッカートニー御大のロック精神大爆発です。流石はリヴァプール出身のワル、一筋縄ではいきません。

そもそもこの人、いまだに3時間くらいのステージこなすタフネスがある訳ですからね。口パクにしたがる運営サイドの意図もわかりますけど相手が悪かった。なにせ相手はポール・マッカートニー、50年以上ロックの頂点に君臨する現人神ですから。その貫禄を見せつける流石のパフォーマンスです。

クイーン&ジェシー・J

Queen & Jessie J's London 2012 Performance | Music Monday

ここからは閉会式。閉会式の方が音楽フェス感マシマシなんですけど、やっぱりコレがハイライトじゃないですかね。クイーンの登場です。

コレも泣けるんですよ、まずステージ中央に設置されたモニターにフレディ・マーキュリーが降臨。コール・アンド・レスポンスで会場を沸かせます。

本当にこの人って生粋のエンターテイナーなんだなと思います。天国に行ってから20年も経つのに、まだまだ楽しませてくれる。しかも彼のコール・アンド・レスポンスって、映画でもお馴染みの「レーロ!」ですから、言語も文化も関係なく、誰もが彼の意のままに盛り上げられてしまうんですよ。ことごとく魔法のような才能です。

そして、フレディ・マーキュリーがしっかりと会場を温めた後に登場したのがブライアン・メイ。なんとオリンピック閉会式でギター・ソロを披露します。多分前代未聞ですよね、ギター1本でステージに乗り込んできやがるんですこのおじいちゃん。

さあ、ギター・ソロもクライマックス、ここで流れてくるのがあの「ドンドンパ!」のリズム。ロジャー・テイラーが力強く『ウィ・ウィル・ロック・ユー』のビートを叩き鳴らします。ああ、本当にクイーンはズルイ。盛り上げ方というのを誰よりも理解してますね。

ヴォーカルを務めたのは女性シンガーのジェシー・J。当時一部から「誰だお前」「フレディの方が上手い」みたいな批判を受けてましたけど、圧巻の歌唱です。そもそも彼女だってクイーンを歌う以上「フレディ・マーキュリー」と比較されるなんていう、あり得ない重圧がそこにあることは百も承知でしょ。でもそれを振り切って、堂々たるパフォーマンスを見せた。流石の一言です。

ぶっちゃけオリンピックなら『伝説のチャンピオン』でもいいじゃないかとは思わないでもなかったんですが、この曲の誰でも盛り上がれちゃう圧倒的な普遍性みたいな部分は国際的イベントにピッタリですね。その辺も計算に入れての選曲だと思うんです、なにせクイーンですから。

ザ・フー

The Who London 2012 Performance | Extinguishing the Olympic Flame

さあ、ロンドン五輪もいよいよ閉幕。聖火も消され、あとは大トリを待つのみ。ここでやってくるのは彼らしかいませんね。イギリスが誇るロック・バンド、ザ・フーです。

オリンピックのラストにザ・フー持ってくる、なんて粋なんでしょう。ボウイの時もそうでしたけど、決してセールスでは世界トップ・クラスじゃないアーティストじゃないですか。でも、自国の文化を象徴する存在としてザ・フーを選べる、最高です。

キース・ムーンの代役を務めたのはザック・スターキーリンゴ・スターの実子でありキース・ムーンの弟子というどこまでも御誂え向き、ブリティッシュ・ロック魂の塊のような存在です。もうムーニー直伝の大迫力のドラムが最高でね、よくぞ出てくれたという感じです。

それにロジャー・ダルトリーの歌声だって年齢を全く感じさせないエネルギッシュさだし、ピート・タウンゼントだって秘技「ウィンド・ミル奏法」を炸裂させる。ライブやらせれば天下一品のザ・フーらしさ全開です。

名曲『ババ・オ・ライリー』から立て続けに『シー・ミー、フィール・ミー/リスニング・トゥ・ユー』、コレだけで完璧な大団円、いやあよかったよかったいいオリンピックだった……で終わらないのがザ・フー。ダメ押しと言わんばかりに『マイ・ジェネレーション』ですよ。

すごくないですか、70前のおじいちゃんがオリンピックのラストに「俺の時代の話でもしようぜ」って歌う訳です。ただこの「俺」っていうのは、きっと「イギリス国民」のことでしょうね。もう最高のクライマックスですよ。

それにコレでもかと爆発する花火、完全にキース・ムーンが帰ってきてますよねコレ。派手好きなミスター破天荒、彼がこのお祭り騒ぎを無視するわけがない。あの世から特大の花火で参戦します。

大合唱と大爆発、完全なるどんちゃん騒ぎでようやくロンドン五輪は閉会する訳です。厳かさのカケラもない、ロックンロールそのものな超ハイ・テンションの閉会式、こんなことができちゃうなんてつくづくスゴイ国ですよイギリスって。

まとめ

さあ、今回はロンドン五輪での最高のパフォーマンスを5つピックアップしてご紹介してきました。

あんまり書きすぎても読みにくかろうと思って泣く泣くカットしましたけど、アークティック・モンキーズの若々しいステージにミューズは通常営業のマシュー・ベラミー劇場、エド・シーランが歌ったフロイドの『あなたがここにいてほしい』では『炎』のジャケットを再現しちゃったりなんかして。

ロック以外でも、当時まだデビュー2年目のワン・ダイレクションや一夜限りの再結成をしたスパイス・ガールズ、全く空気を読まないペット・ショップ・ボーイズとやりたい放題です。音楽ファンなら一度はフルで観ておいた方がいいですよ、ホントに。

で、コレは音楽大国イギリスだからできたことなんですよ。正直音楽産業において日本は英米ほどの存在感は世界的にはない訳で。いい音楽はたくさんありますけどね。

だからこういうスケール感で勝負したってかないっこないし、そもそも同じ土俵に立つ必要もないと思うんです。もし東京五輪が開催できるなら、日本らしい開閉会式にしてほしいものです。期待してますよ。それではまた。

Workout Mix London 2012

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