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「#60年代洋楽ベストソング100」ピエールの選んだ40曲とその道程

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どうも、三度の飯よりランキング企画が好き、ピエールです。そんなピエールですから、当然ここしばらくはこの企画についてあれこれと考えておりました。

色んな方が定期的に開催してくださる(企画立案/レギュレーション設定/集計/発表までの労を思うと感謝がつきません)、X上の投票企画、今回は1960年代の名曲がお題ですね。

参加しないという選択肢は、もちろんはなっからありません。そして今回は10〜40曲、かつ順位づけは不要というこれまでに比べると幾分かカジュアル(ゆえに色んな層のリスナーが参加しやすそうですよね)なレギュレーションですので、まあいっちょサクッとやってやりますか……と考えてみたらば。意外や意外、過去になく考え込んでしまいました。

で、せっかく考え込んだついでで、今回の投票に至るまでのあれやこれや、ちょっと文章に残しておこうかなと思います。

※先に断っておきますが、心から1960年代にダイヴしたかったので、この文章に登場するアーティスト名や楽曲名はすべてカナ表記/邦題にしています。平気で『4人はアイドル』なんて死語を使っておりますがご勘弁ください。このダサさが愛おしいんですよ

投票内容

まずは今回選んだ40曲のラインナップを。Apple Musicのプレイリストにまとめておりますのでそちらもついでにね。

ピエールの「60's」をApple Musicで
プレイリスト・40曲

……なんか違和感ありません?その違和感を助長させるべく、過去に敢行した1960年代洋楽史解説のリンクも貼ってみましょうか。

1960年代洋楽解説特集
「1960年代洋楽解説特集」の記事一覧です。

ええ、この解説でも取り上げております、1960年代を語るうえで外せない偉大なアーティストたち、ヴェルヴェッツジミヘンドアーズ、そして1970年代への架け橋となるハード・ロック的なクリームツェッペリン。この辺まるっと選外です。至って大真面目ですよ。

最初に40曲選んだときは、この辺当然入ってましたよ。『幻惑されて』、『ジ・エンド』、『僕は待ち人』、『ホワイト・ルーム』……と、納得の名曲たちをわんさか入れておりました。

それがいったい何故、この結果でロック小僧のピエールは最終的に納得したのか。そういう話をしていきたいと思います。

1960年代はロックだけじゃないやい!

今回も今回とて、きっかけをくれたのはこの人です。

The Jackson 5 "I Want You Back" on The Ed Sullivan Show

……またこいつマイケル・ジャクソンの話してると思いました?今回はきっかけってだけでそこまで必死に持ち上げたりしないのでもうちょっと辛抱してください。

閑話休題、ジャクソン5のデビュー・シングル『帰ってほしいの』ですね。この曲、リリースが1969年なのでギリギリ今回の投票対象内です。で、MJシンパ的な立場を抜きにしても、この曲の「キャッチーとはこういうことさ」とドヤ顔してくるポップスとしての強度は、1960年代どころか半世紀以上にわたるポップスの歴史の中でも最高レベルと常々思っておりますので、選ばないという選択肢はございません。

そうなると、意識は当然モータウンに向く訳ですよ、シュプリームスマーヴィン・ゲイヴァンデラススモーキー・ロビンソンマーヴェレッツ……当時のモータウンの看板アーティストたちですが、順当に代表曲を選んでいきました。商業音楽として研ぎ澄まされたモータウンですから、やっぱり有名な曲ってその分いい曲なんですよ。

さあ、するとここで今度はこの人を思い出します。

The Ronettes – Be My Baby (Official Audio)

フィル・スペクターですよ。スペクター界隈からも『ビー・マイ・ベイビー』『ふられた気持』を筆頭に手堅く選んでみました。それと、ロネッツやクリスタルズといったガールズ・グループついででシャングリラスもピックアップしてます。

さて、実はモータウンと「ウォール・オブ・サウンド」、別に音楽性がどうこうではなく、私の意識の中でかなり近いところにいます。1つに、ビートルズ旋風以前の60’sポップスの大きな遺産であるということ、そしてもう1つに、「名盤」という切り口で語られることが極めて少ないエリアだということ。

何度か主張していますが、今日言うところの「名盤」という価値観は、1966〜67年くらいに一気に浸透していったものです。『サージェント・ペパーズ』『ペット・サウンズ』といった金字塔の出現が、作り手の側にも聴き手の側にも「アルバム」という最小単位への意識を強く植え付けた。

そしてこの意識では、シングル・ヒットを連発したモータウンやフィル・スペクターというのは拾えないんです。彼らが作成するアルバムは「名曲集」であって、コンセプトやトータリティへの配慮を前提として有していませんから。

ただ、今回は「曲」にスポットを当てる企画ですからね。我々に深く染み込んだ「名盤」という意識、そしてその視点から評価してきたアーティスト群、そしてそれはこの時代においてロックの専売特許だった訳ですが、この辺は一旦無視して選んでみよう。そう考えてみました。

となるとですね、今まで私も思考を巡らせる機会が決して多くなかったアーティストを次々に思い出すことができました。JBサム・クックアレサ・フランクリン、極めつけはレイ・チャールズ……言わずと知れたソウルの巨人たちですよね。ただ、ライヴ盤の評価が高いJBや名盤選でも定番の作品がいくつかあるアレサ・フランクリンはともかく、レイ・チャールズなんて本当に語られないですから。

Unchain My Heart

この辺を拾っていきつつ、ついでに思い出したので「人類のエンディング・テーマ」と勝手に呼んでいるサッチモ『この素晴らしき世界』も回収し、そしてそして、忘れちゃいけないこの領域です。

Walk on By

はい、バート・バカラックですね。作曲家としての巨大さはいまさら語るまでもないですが、彼の音楽も「名盤」という観点ではどうしても見つけにくい。ディオンヌ・ワーウィックダスティ・スプリングフィールドという彼にとっての最上のディーヴァたちとともに、バロック・ポップとしての評価も高いウォーカー・ブラザーズによるバカラックのカバー『涙でさようなら』をチョイスしました。

あとはフォーク。非ロックとロックの結びつきとしても大事なサウンドですからね。ただフォークは正直詳しくないので、あくまで背伸びせず心から好きと言えるものを軽く選んでみました。

ディランは当然として、個人的に人生で初めて好きになった曲でもある『パフ』、そしていよいよロック的サウンドが聴こえてくる、ディランのカバーでもあるザ・バーズ『ミスター・タンブリン・マン』サイモン・アンド・ガーファンクル『サウンド・オブ・サイレンス』。こんな感じです。

Puff, the Magic Dragon

1960年代は「名盤」だけじゃないやい!

さて、ここまでくると残り20曲もありません。この限られた枠の中でロックから厳選していくことになってしまいました。40曲ですら絞りきれないというのに、その半分となれば何かコンセプトがないと埒があかない。

それに、ここまでの選出と並べても違和感のないものにしたいじゃないですか。ここにいきなりフランク・ザッパが出てくるのも、それはそれで1960年代のなんでもありっぷりを知る意味で楽しいですけど、今回は違う軸でいきたい。

で、その方向性を決めるにはこの人たちから始めないとなということで。

The Beatles – Help!
All My Loving (Remastered 2009)

はい、1960年代、というか人類史上最大のポップス・アーティストでありますザ・ビートルズ。彼らからは『ヘルプ!』『オール・マイ・ラヴィング』としました。レノンとマッカートニーから1曲ずつです。

単にレノン/マッカートニーのベストを選ぶなら『レイン』『フォー・ノー・ワン』が不動なんですが(この企画の通りです)、ここまでに選んだ楽曲のモードからして、ある種オールディーズ的な聴き方もできるこの辺の時期から選んだ方がしっくりくるなと。それに、こういう企画で大真面目に『ヘルプ!』を選ぶ度胸というのも、そろそろ必要かなとも思いました。

で、ここでビートルズのうち2nd『4人はアイドル』から選んだということは、ロックにおいてもあまり「名盤選」的なところから連想しなくてもいいかなと。例えばストーンズから『べガーズ・バンケット』より『悪魔を憐れむ歌』、あるいは『レット・イット・ブリード』より『ギミー・シェルター』といったチョイス。これらも間違いなく名曲ですけど、せっかく名曲ランキングなんだからアルバム先行で思いつくというのを今回はなるだけ回避してみようという訳です。

となると、「4大バンド」はすんなり決まりました。ストーンズからは土臭さを微塵も感じない『ルビー・チューズデイ』。ザ・フーならばアルバム未収録の『リリーのおもかげ』。キンクスは「ロンドンのアンセム」とまで呼ばれる『ウォータールー・サンセット』。『サムシング・エルス』は素晴らしい名盤ですけど、シングルで先行してリリースされているし、収録のされ方もボーナス・トラック的ですしね。

ただ、そうはいってもザ・ビーチ・ボーイズからは『ペット・サウンズ』より『神のみぞ知る』『アイ・ゲット・アラウンド』なんかの方がしっくりはくるんですけど、ここは譲れなかったですね。ダメ押しに『グッド・ヴァイブレーション』も選んでます。この2曲は1960年代の録音芸術における頂点ですから。それにゾンビーズ『今日からスタート』、これも名盤『オデッセイ・アンド・オラクル』収録ですが、あまりに好きすぎて蹴れなかったなぁ……

This Will Be Our Year

そしてこの辺でサイケはどうしようかとなるんですが、プロコル・ハルムの大名曲『青い影』筆頭に、ちゃんとヒットしたものを選んでみました。ムーディー・ブルース『サテンの夜』も、あくまで私の心持ちではシングル・バージョンとして選んでます。フロイドも当初選ばなくていいかなぁと思ってたんですが、この流れならば『エミリーはプレイ・ガール』はしっくりくるのでチョイス。

とはいえ、この辺は深入りするとどんどんポップなものから離れていくので。この辺りでその対極にある土臭いところにいきましょう。これまた無難にザ・バンドCCR、そしてジャニス・ジョプリン。ザ・バンドはともかく、CCRとジャニスはこういう企画でもないとなかなかピックアップできなかったように思います。

さあさあ、これで39曲。トリは何にしようかなというところで……抗えませんでした。キング・クリムゾンより『21世紀の精神異常者』。ここにきてコンセプト台無しのバッチバチなプログレッシヴ・ロックなんですが、流石にこれを選ばないのはピエール的に嘘すぎるのと、1960年代の最後にみんなで腰抜かしてチャンチャン!という爆発オチもよいかなということで。

King Crimson – 21st Century Schizoid Man (Including "Mirrors")

まとめ

という訳で、私ピエールの選ぶ40曲はこんな感じでした。全体的にミーハーっぽさが隠しきれませんが、もう今回はコンセプトからしてミーハーでいいやという開き直りがありますから。こんなベッタベタな40曲をドヤ顔で見せびらかせる機会、なかなかないですよ。

しかも今回はランキング形式での投票ではないので、私の中にこびりつく「これは批評的にうんたらかんたら」みたいな感性をかなりの範囲取り除けたかなと。『ストロベリー・フィールズ・フォーエバー』も『ライク・ア・ローリング・ストーン』もない60’s名曲選、いいですね。嘘がない。

こちらの企画、9月1日まで投票受付されているとのことですので、興味を持たれた方はぜひ参加してみては。そしてもちろん、結果発表も楽しみです。1位予想は……なんだかんだ『神のみぞ知る』になったりしないかな。ということで、今回はこの辺で。

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