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「みんなでドリームバンドを作ろう!」〜ピエールの場合〜 ③ベーシスト編

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さて、前回、前々回に続いてこの企画。今回はベーシスト編ですよ。過去二回をまだお読みでない方はまずはそちらを。

ベーシストって、音楽聴かない人からすると一番影の薄い存在じゃないですか。音が目立つ訳でもないし、そもそもギターとの違いもイマイチわからないみたいな人もいるくらいですからね。

ただ音楽ファンからすると、ベーシストの重要さというのはもう果てしないものがあるのもまた事実。そんな縁の下の力持ちであるベーシストの中でも、私が特に好きなミュージシャンを5人選んでみました。では、参りましょう。

第5位 ピノ・パラディーノ

第5位はピノ・パラディーノ。ギタリスト編ではバキバキにロック・ミュージシャンから5名選出しましたが、ベーシストとなるとそうは問屋が卸しません。

この人のキャリアって本当に多岐にわたるじゃないですか。ジョン・メイヤーと一緒の時期もあるし、ロック・ファンはジョン・エントウィッスルの後任としてザ・フーでプレイしている姿を連想するかもしれません。

ただ、個人的にはやっぱりディアンジェロの作品でのプレイですかね。『ヴードゥー』のレビュー記事でもパラディーノのプレイには言及しましたが、やっぱり何度聴いても感動的です。あんなに心地いいグルーヴ、私は他に知りませんよ。

D'Angelo – Send It On

冒頭でも書きましたけど、ベーシストの主な役割は音楽全体をより豊かにすることだと思っていて。そういう意味で、この人は素晴らしい名バイプレイヤー。フレットレス・ベースのユニークなサウンドからロックの堅実な演奏、さらにはネオ・ソウルによる革新的グルーヴまで、なんでもこなす最高のスタジオ・ベーシストの1人です。

VOODOO

第4位 ブーツィー・コリンズ

第4位はファンク・ベースの神、ブーツィー・コリンズジェームス・ブラウンからPファンクまで、70年代ブラック・ミュージックに多大な影響を及ぼしたレジェンドです。

ベーシスト・ランキングを作るのに彼を外すなんてマネはちょっと無理がありますよね。フェイク感がすごいというか。あくまでコレは私個人の好みのランキングではありますけど、それでもブーツィー・コリンズのプレイはほとんどの音楽ファンが大好きなんじゃないかと思います。

とりあえずコレですね、ジェームス・ブラウンの代表曲『セックス・マシーン』。JBのソウルフルな歌唱やクールなカッティング・ギターに意識を向けたくなる気持ちもわかりますが、ここは是非ベース・プレイにご注目ください。

James Brown – Sex Machine (Part 1)

ファンクってメロディやハーモニーの要素が希薄なジャンルじゃないですか。そうなるとリズムの担う存在感は増す訳ですが、そこに見事に応えているのがもうスゴイ。今でこそこういうスタイルって当たり前ですけど、まだまだファンクも黎明期の段階でファンク・ベースのなんたるかを完璧に構築しているんですね。

JBは大好きなアーティストですけど、ブーツィーが参加している頃のライブ・アルバムを聴くことが多いんですよ。いわゆる「オリジナルJB’s」のラインナップの時期ですね。凄まじく濃密なファンク・サウンドの中で、JBと同じくらい存在感を出してくるのがブーツィー・コリンズのベース。最高の一言です。

ライヴ・イン・パリ ‘71

第3位 ジョン・エントウィッスル

ちょっと意外な位置でしょうか、ザ・フーのジョン・エントウィッスルが第3位です。

この人はやっぱり特別ですよね。ベース界のジミヘンというか、ベースという楽器のあり方を根本から変えてしまった人物の筆頭です。なにせ最初期の楽曲『マイ・ジェネレーション』の段階でベース・ソロを入れてきますから。

My Generation (Stereo Version)

よくエントウィッスルのプレイを形容する表現に「リード・ベース」なんてものがありますけど、コレは本当に的確だと思います。すごくゴツゴツとしたサウンドですし、メロディアスな印象が際立つという訳でもないんですが、もうとにかく度肝を抜かれるアクロバティックでアイコニックなプレイだらけ。

定番どころですが『リアル・ミー』のベースもまじまじと聴いてみるととんでもないですから。もうほとんど全編ベース・ソロ状態です。それでなんで楽曲が成り立っているのか結構疑問なんですが、そこは彼のバランス感覚なんでしょうね。

The Real Me

そしてここまで強烈な個性を見せておきながら、愛機がフェンダーのプレシジョン・ベースというのもニクい。弘法筆を選ばずなんて言いますけど、世界で最もスタンダードなベースですらエントウィッスルの手にかかればオンリー・ワンのサウンドに早変わりしてしまう、その表現力も世界最高クラスです。

ライヴ・アット・リーズ デラックス・エディション

第2位 クリス・スクワイア

第2位にはイエスを最後まで支え続けたベーシスト、クリス・スクワイア。デビューから一貫してイエスであり続けた唯一の人物です。

彼の代名詞といったら、ブリッブリのリッケンバッカー・サウンド。ロック・シーンを象徴するような名機ですが、個人的にリッケンバッカーといったらクリス・スクワイアってくらいアイコニックな音色を聴かせてくれます。

代表曲の『ラウンドアバウト』だって、イントロから楽曲に推進力を与えているのはスクワイアのベースじゃないですか。この時期のイエスの上物って、リック・ウェイクマンスティーヴ・ハウでしょ?そんな名プレイヤーがいながら、あるいはいるからこそ、ベースの主張が輝いています。

Roundabout (2008 Remaster)

それだけパワフルなプレイもする上で、ベーシストの本分である「楽曲を支える」という役割も完璧にこなしているというのも見過ごせません。プログレ・バンドですから平気で10分を超えるような楽曲もありますし、特にイエスは同時多発的に演奏が主張する場面も多い。それが散漫にならないのは、スクワイアの貢献が非常に大きいと思います。

イエス唯一のオリジナル・メンバーであり続けたという話を出しましたが、もうスクワイアのいないイエスはイエスじゃないとすら言いたくなるほどバンドに貢献し続けたんですよねこの人。そういう姿勢も、私が思う名ベーシスト像にリンクするんです。

イエスソングス(紙ジャケット仕様)

第1位 ポール・マッカートニー

いやあ、今回は特にベタなラインナップですね。そのベタベタなランキングはこの人に締めてもらいましょう。ポール・マッカートニー御大です。

基本的にこの人の偉大さ、凄さを語るときって「作曲家」としての部分に注目するじゃないですか。それ自体なんら間違ったことでもないし作曲家としてのポール・マッカートニーは皆さんご存知の通りバケモノな訳ですが、ベーシストとしてもずば抜けて素晴らしい

彼のベース・プレイの素晴らしさって、その「歌心」にあると思うんです。曲の旋律だけでなく、もはやリズム楽器のベースですらメロディアス。多分あの人イビキもキャッチーなんじゃないですかね。

これまで散々語られてきたことですけど、それこそ『サムシング』のベース・ラインなんて歌いまくってるじゃないですか。作曲したハリスンは「ベース主張しすぎ」と苦言を呈したみたいですけど、言わんとせんことはわかります。それくらい圧倒的で素晴らしいベース・ライン。

The Beatles – Something (2019 Mix / Audio)

ザ・ビートルズ解散後のウィングスやソロの時代でもスーパー・ベーシストっぷりは健在です。『心のラヴ・ソング』のベースもまあまあおかしいですからね。あれだけキャッチーな歌メロがあるんだから、普通はベースはシンプルにしたくなるじゃないですか。でもメロディにぶつけるように印象的なプレイをあえてする。その発想って本当に音楽的だなと。

Silly Love Songs

しかもこの人原則弾きながら歌う訳でしょ。亀田誠治が「ベース弾きながら歌うのは本当に難しい」ってことを言ってましたが、マッカートニーはそれを苦もなくこなしちゃいます。経験のなせる技なのかもしれませんけど、そういう部分にも彼のベーシストとしての天才性が溢れ出ていると思うんです。

ロックショウBlu-ray【日本語字幕付き】

まとめ

今回は第3弾ということでベーシストのランキングを見ていきました。

本当にベタなリストというか、好事家の方からすればお叱りを受けかねない内容にもなっていると思いますが、あくまで私一個人の好みですから。ベタで何が悪いと開き直ってみました。

こうして見ると、個性的なサウンドを持つアーティストには名ベーシストが必ずいるように感じますね。ボーカリストやギタリストの華々しさの裏には、こうしたベーシストの活躍が不可欠なんだと改めて実感します。(この5人に関しては彼ら自身が華々しい主役級のプレイヤーでもありますが)

さあ、次回はいよいよこの企画の最終回、ドラマー編です。こちらも是非お楽しみに。それではまた。

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