いきなりですが、レコードはお持ちでしょうか?私がブログ、あるいはTwitterで扱っている音楽が基本的にクラシカルなものなので、リアルタイムで体験されている方はレコードで所持されていると思います。
ただ、私がギリギリ20世紀の生まれでクラシカルな作品に関しては完全に後追いな都合上、レコードを再生する環境ないんですよ。というより、サブスクリプションの便利さに溺れて、最近ではフィジカルで購入する機会もなくなりつつあります。
そもそも「音楽を買う」という行為自体がどんどん一般的でなくなっていますからね。気になった作品やアーティストはワンクリックで聴けてしまう、そんなよくも悪くも便利な時代です。
じゃあモノとして音楽を入手する必要性はないのか?
そんなことはありません。
コレクションとしての楽しみ方もありますが、アートワーク、すなわちジャケットを楽しむという魅力はなかなかサブスクでは味わえませんから。
で、ジャケットを楽しむならやっぱりレコードで手に入れたいじゃないですか。あの迫力と紙ジャケットの質感は、やはりCDにはない愛おしさがあります。なので今回は、音楽の内容というよりは「名ジャケット」の観点から5枚紹介していこうと思います。
再生環境がないという方も、ここはインテリアと割り切って見ていただければと思います。商品リンクも今回はアナログ・レコードを記載しておきます。だって、レコードを飾ってるってなんかカッコイイじゃないですか。
『アビー・ロード』
Abbey Road -Annivers- [12 inch Analog]どれだけ安直と言われようと、最初にご紹介するのはやっぱりこれしかないですかね。ザ・ビートルズのラスト・アルバム『アビー・ロード』です。
この写真を見たことがない、って人の方が少ないくらいには有名なジャケットですよね。数々のパロディの標的にもされた、名ジャケットの中でも最も有名なものじゃないかと思います。
作品としてもとてつもなく名盤ですが、この写真のインパクトって凄まじいものがあると思うんです。このジャケット撮影時のアウト・テイクも公開されてますが、採用されたこの写真は本当に奇跡的な1枚ですよね。アートとしてこれ以上なく秀逸というか。
初期のアイドル感のあるジャケットもいいですし、サイケにどっぷりな頃のカオスさもいいんですが、この音楽と切り離された唯一無二の存在感。有名になるだけのことはあります。
私の部屋に飾っているレコードの1つでもあるんですよ、コレ。これはもう名ジャケとしてはマスト・アイテムと言っていいんじゃないでしょうか。
『ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』
Velvet Underground & Nico [12 inch Analog]コレも定番ですね。というより、このジャケットに関しては本物のアートですから。
このジャケットを手がけたのは本作のプロデュースも務めたアンディ・ウォーホル。ポップ・アートの第一人者ですね。ビビッドな色彩感と現代的なモチーフ(マリリン・モンローの肖像だったり、スープの缶だったり)が特徴の、20世紀を代表する芸術家です。
彼の特色はこのジャケットにも遺憾なく発揮されていて、このバナナの毒々しさはもう強烈です。なんてことないように見えて、危うげで退廃的。この作品の通称を「バナナ・アルバム」にしてしまうくらいにはアイコニックなイラストです。
このアルバムもロック史の中で極めて重要な作品で、当然音楽作品としても是非聴いていただきたい1枚ではあるんですが、今回の「名ジャケット」という切り口でも欠かせない作品だと思います。
『アブソリューション』
Absolution [12 inch Analog]名ジャケットの話をするなら「ヒプノシス」の作品から選ばない訳にはいかないですね。今回はミューズの『アブソリューション』をチョイスしてみます。
「ヒプノシス」というのは70年代以降の名だたるアーティストのアルバム・ジャケットを手がけたデザイナー集団。ピンク・フロイドの諸作を始め300枚近いアルバムのアート・ワークを担当しています。
で、素直に選ぶなら『狂気』かなとは思うんですけど、ちょっとベタな選出が続いているのでここで変わり種を。といっても超有名アーティストではありますが。
少女が空を見上げるというよくありそうなデザインなんですが、地面に落ちる無数の人間の影が実にシュール。しかも全て同じポーズでゾッとしちゃう怖さみたいなものすら感じます。
ヒプノシスに関してはアート・ブックも出版されているので、この世界観に惹かれた方はそちらも手に取ってみてはどうでしょうか。(一応翻訳版と元版の2つのリンクを貼っておきます、翻訳版の価格がとんでもないことになってましたので……)
ヒプノシス全作品集【2000部完全限定】 Vinyl, Album, Cover, Art: The Complete Hipgnosis Catalogue『WAR(闘)』
War [12 inch Analog]力強さなら文句なくトップ・クラスのジャケット、U2の初期の傑作『WAR(闘)』です。
アルバム・ジャケットがその作品の内容を表す、なんてことも往々にしてありますけど、この作品はその代表例と言っていいんじゃないでしょうか。政治的なテーマを扱った楽曲に込められた怒りや衝動というのが、この少年の鋭い眼光に宿っていますね。
個人的な趣味だけなら、どちらかというともっとアートなジャケット、それこそヒプノシスが手がけたものなんかの方が心動かされることが多いんですが、このジャケットは一目見て惚れ込みました。「なんてパワフルなんだろう」と。
顔写真で勝負!ってタイプのアート・ワークは滑りがちな印象も正直あるんですよね、別にジャケットで滑ったからといって作品がよければなんの問題もないんですが。ただこの作品はそのストレートさを逆手に取っています。そのシンプルさがインパクト抜群な名ジャケットです。
『クール・ストラッティン』
Cool Struttin’ [12 inch Analog]最後にジャズからも紹介しておきましょう。ジャズのレコードが家にあるってそれだけで洒落てる感ありませんか?私がロック畑の人間なのでそう感じるだけでしょうかね。
今回紹介するのはソニー・クラークの『クール・ストラッティン』。高校生の時にジャズを勉強しようとした時、CDショップで心惹かれて思わず「ジャケ買い」した1枚です。
白黒写真で、アメリカの街を闊歩するハイ・ヒールのアップ・ショット。もう「これぞジャズ」という、都会的で洗練されていてアダルト、それでいて溌剌としたエネルギッシュなイメージですよね。
ジャズ、それも50年代のスタンダードな作品のジャケットって、どうしてもプレイヤーの写真にアルバム・タイトル、それから収録曲みたいなシンプルなものが多いんですよね。その中にあってこの作品の「名ジャケ」感は尋常ではないと思います。
まとめ
最近の記事の文字数がとんでもないことになっているので、今回はちょっと軽めの内容にしてみました。評判よければ第二弾もやりたいですがそれは後々ということで。
最初にも言いましたけど、レコードを家に飾るって無茶苦茶カッコイイじゃないですか。このデジタル時代にあって、あえてレコードというこだわりも個人的にはシビれるポイントです。
内容ももちろん名作ってところに加えて、インテリアとしても優れたアイテムというのがやっぱりレコードの魅力の1つだと思うんですよ。勲章というか、レコードで所持することでちょっとレベルが上がったような、そんな感覚すら個人的にはあります。
この記事をきっかけにレコードを入手する喜びというのを知っていただけたら嬉しいです。せっかく音楽好きなら、モノにもこだわりませんか?
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