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Off The Wall/Michael Jackson (1979) 〜「キング・オブ・ポップ」前夜を告げるR&Bの大名盤〜

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さて、私のことをTwitterでフォローしていただいている方ならば、現在ザ・ビートルズ、クイーンに続く「全曲レビュー」企画の第3弾、「#MJ全曲レビュー」というものを敢行中なのをご存知かと思います。(私ピエールのTwitterはこちらから)

で、ザ・ビートルズとクイーンに比べて、MJのソロ・アルバムって枚数が少ないんですよ。モータウン在籍期のソロ作品も入れればそれなりなんですけど、あれをソロ作品と呼ぶのはちょっとね。

なので企画としては結構こじんまりとしたものになってしまいそうなので、ブログで連動してMJのディスク・レビューもやってみようかと。Twitterで各アルバムの楽曲レビューが完了し次第、ブログでアルバム・レビューを行うという感じですね。

ということで今回はその第1弾として、『オフ・ザ・ウォール』のレビューをやっていきましょう。それでは参ります。

“Off The Wall”制作背景

『オフ・ザ・ウォール』に至るまで〜MJキャリア最初期の確認〜

まずはこの作品が制作された背景からですね。この作品、ここがとても重要です。

今更ですが、マイケル・ジャクソンのキャリアというのはジャクソン5から始まっています。70’sのモータウン再興を象徴した、大ヒット連発のボーイズ・グループですね。

The Jackson 5 "I Want You Back" on The Ed Sullivan Show

デビュー当時MJはまだ11歳なので、当然作曲には関与しないんですけど。成長と共にアーティストとしての自我が芽生えていきます。ごく自然なことですね。1970年代初頭のモータウンというと、マーヴィン・ゲイスティーヴィー・ワンダーがアーティストとして自立した時期とも重なるので。

(1970年代のモータウンの動向に関してはこちらの記事でも解説しています。併せて是非!)

ただ、これも有名ですがモータウンというのはかなり専制的なレーベルで。まして、ゲイやワンダーを飼い慣らせなくなった今、せっかく手に入れたジャクソン5というドル箱はなんとか管理しようと必死になります。その衝突の結果、ジャクソン5はモータウンを去ることになるんですね。1975年のことです。

レーベルを移し、グループ名をジャクソンズに改名した彼らですが、ジャクソンズとしてのキャリア初期にもやはり自主的な音楽制作には関与できず。スマッシュ・ヒットにはいくつか恵まれますが、ジャクソン5の絶頂期には程遠い売上だったのも事実。

そこで再起をかけて、グループのセルフ・プロデュースで発表されたのが『デスティニー〜今夜はブギー・ナイト』(’78)。この作品からのリード・シングル、『シェイク・ユア・ボディ』(MJとランディ・ジャクソンの共作)がヒットを記録し、見事グループはカムバックに成功しました。

Jacksons ft. Michael Jackson – Shake Your Body (Down To The Ground) • TopPop

ただ、これで満足しないのが稀代の完璧主義者であり驚異的エンターテイナー、マイケル・ジャクソンです。彼はソロ・アーティストとして、より自立した音楽家になることを望むようになります。この『デスティニー』での成功が彼を後押ししたのもあるでしょうね。

クインシー・ジョーンズとの邂逅

で、彼はソロ・アーティストとして飛躍するにあたり、彼をサポートするプロデューサーを探します。このあたり、やはり彼が商業的音楽の寵児であることをうかがわせる動向です。ロック畑ならば、勝手に曲を書いたりメンバーを探したりするはずですから。

ただ、MJにとって音楽家としての成功には「ヒット」が絶対条件です。それは彼が持っている天性のスケール感、そしてモータウンという「ヒット生産工場」でキャリアの最初期を過ごした故の価値観なんでしょうけど。

そんな彼に転機が訪れるのが、ミュージカル映画『ウィズ』の撮影です。

The Wiz | "Ease On Down the Road" Performed by Diana Ross and Michael Jackson

『オズの魔法使い』をモチーフにした、いわゆるブラックスプロイテーションの一環なんですけど、まあ商業的には大コケした映画なんですよね。ただ、人生何が起こるか分からないもんで、ここに彼の音楽キャリア最大の邂逅があった訳です。

その邂逅とは、クインシー・ジョーンズとの出会いのこと。『ウィズ』の音楽プロデューサーを担当していたジョーンズですが、そのキャリアは1950年代に始まり、彼が関与したアーティストというとレイ・チャールズマイルス・デイヴィスフランク・シナトラと錚々たる面々です。

非常に有名なエピソードですが、MJとジョーンズの出会いを紹介しておきましょう。映画撮影中、MJはジョーンズにこう相談を持ちかけます。「ソロ・デビューしたいんだけど、僕に合うプロデューサーをご存知ありませんか?」と。そう、何もMJは最初から彼とタッグを組むつもりではなかったんですね。

そして、この相談にジョーンズはこう返します。「私じゃダメかな?」……素晴らしい返答ですよね。この極めて粋な問答をもって、『オフ・ザ・ウォール』に始まるMJの本当の意味でのソロ・キャリアは開幕する訳です。

ただ、MJの家族はこのコラボレートに反発します。クインシー・ジョーンズは昔の人、これからスターになろうとするマイケルには相応しくない!」とね。まあ言わんとせんことはわかります。ジャズや最初期のソウルに携わった人物が、1970年代も終わろうとするかの時代に果たしてスターを輩出できるのか?という疑問は自然でしょうから。

ただ、歴史が証明していますね。彼とのタッグで、マイケル・ジャクソンは「キング・オブ・ポップ」へ駆け上がっていったんですから。

“Off The Wall”解説

ブラック・コンテンポラリーの傑作

ここからは実際に『オフ・ザ・ウォール』の内容について見ていきましょう。

このアルバム制作にあたって、クインシー・ジョーンズが招聘したのが腕利きのセッション・ミュージシャン達。ここはベテラン・プロデューサーのジョーンズならではの采配ですよね。

当然、そのグルーヴ感は実に秀逸です。1979年のソウル/R&Bというと、ディスコの熱狂も沈静化され、フュージョンAORからの影響を受けた滑らかでシック、アーバンなムードというのが特徴的なんですけど、いやはや見事です。

1980年代に流行するR&Bの派生系、ブラック・コンテンポラリーの先駆的な一例と語ってもいいでしょうね。『オフ・ザ・ウォール』が今日一部の音楽評論の中で「MJの最高傑作」とまで賞賛されるのは、そうした文脈からの再考の結果でもあるでしょうから。

では、そうした質感の楽曲をいくつか聴いていただきましょう。まずは年間7位の大ヒットを記録したロッド・テンパートンのペンによる名曲、『ロック・ウィズ・ユー』を。

Michael Jackson – Rock With You (Official Video)

どうです、この見事に抑制の効いたサウンド。ここまで洗練されたイントロ、ポップスの歴史を見渡してもそうそうないと言いたくなるくらいです。

ヴォーカルが入ってからもこの緻密な演奏は全く油断しません。メロディの裏で微かに鳴るギターのカッティングや、決して大胆な主張はしないものの素晴らしくセクシーなベース・ライン。巧みに表情を変える16ビートのドラム。惚れ惚れとしてしまいます。

続いて表題曲の『オフ・ザ・ウォール』。この楽曲もこのアルバムのカラーをよく表していますね。

Michael Jackson – Off the Wall (Audio)

怪しげなイントロで開幕しつつ、楽曲としてはタイトなグルーヴが堪能できるミディアム・ファンクといった体裁を取るこのナンバー。ジャクソンズの時期から結構ファンキーな楽曲には挑戦していましたし、MJのルーツはかのJBなので自然なテイストではあるんですけど、ここまで上質で大人びたサウンドは新機軸と言えそうです。

これは紛れもなくクインシー・ジョーンズとのタッグによる成果でしょうね。ジョーンズ及び彼の人脈が生み出す成熟した感性とサウンドなくしてこうした音楽は作りえないでしょうから。

で、事実MJは「チャイルド・スターからの脱皮」を切望していた訳ですから。そういう意味でも、本作ってすごく重要なんです。だってこのアルバムを聴いて、マイケル・ジャクソンのことを「ジャクソン5で人気だった元チャイルド・スター」とはとてもじゃないけど思えない。1人の完成された、成熟したアーティストとしての自立を表明できる作品に仕上がっています。

そうそう、こうしたメロウなR&Bということであれば、この楽曲についても語らない訳にはいきませんね。『アイ・キャント・ヘルプ・イット』です。

Michael Jackson – I Can't Help It (Audio)

この楽曲の作詞曲に携わったのが、あのスティーヴィー・ワンダーだというのは有名な話ですね。蠢くようにセクシーなエレ・ピアノとベースのイントロにひっそりとした16ビートが加わり、その上をやはり這うように妖艶なMJの歌唱が踊ります。当時21歳とは思えない見事な表現力だと思いませんか?

そう、忘れがちですけど『オフ・ザ・ウォール』発表時、まだMJは21歳です。キャリア自体は10年くらいあるんですけど、なにせデビューが早いですからね。ただ、こうしたアダルティな楽曲ではしっかりと成熟した表現に振り切ってみせる。だからこそ、本作のサウンドと乖離することなく、ブラック・コンテンポラリーとして素晴らしい名作に仕上がっているんだと思います。

シンガー、マイケル・ジャクソンの飛翔

アダルティなR&BとMJの歌唱による表現のマリアージュでいうと、さっき挙げた3曲に共通しているのが楽曲後半の彼のヴォーカル・スタイル。導入は実にメロウに立ち上がるんですが、楽曲が花開くポイントで一気に伸びやかで踊るような歌唱に移行するんですよね。

この見事な表現力ったらないですよね。マイケル・ジャクソンってどちらかというと感性のアーティストだと思っていて、ひらめきやインスピレーションによってその音楽を構築していた人物ではあるんですけど、ことシンガーとしてはどこまでもクレバーです。それを弱冠21歳で見せつけてくるのがもう天才的なんですけど。

さて、シンガーとしてのMJに触れた以上、この楽曲は紹介せねばなりません。本作唯一のバラード、『あの娘が消えた』です。

Michael Jackson – She's Out of My Life (Official Video)

実にグルーヴィーな本作にあって、ドラムの登場しない例外的な楽曲なんですよね。イントロは荘厳な弦楽合奏で導かれ、哀しげな電子ピアノがサウンドスケープを構築しています。

トム・バーラーという人物の作曲なんですが、彼は当時あのカレン・カーペンターと交際していました。その恋は悲恋に終わる訳ですが、その心情を表現した、いわば極めてビターな大人のラヴ・ソング

実際、この曲を弱冠21歳のMJに歌わせるべきかどうかという議論もあったようです。ジャクソン5の時期から『アイル・ビー・ゼア』『ベンのテーマ』のような名バラードを歌い上げてはいましたけど、それらも「大人顔負け」ではあるもののアダルティとは言えない質感の歌唱ですから。

I'll Be There

そこへいくと『あの娘が消えた』の歌唱は素晴らしい。傷ついた一人の男の独白としてこれ以上ありません。MJの見事なビブラートと、余韻を残す特有の歌声が堪能できる名演の1つですね。

この楽曲にまつわる有名なエピソードとして、レコーディング中、あまりに感情移入したMJが泣いてしまい最後まで歌いきれず、レコーディングが難航したというものがあります。実際アルバムに収録されたテイクでも、最後の歌声は涙声になっているのが聴き取れますね。

この凄まじい感受性、ここも彼の天才性の1つです。1980年代以降、MJは積極的に流行の音楽トレンドに反応していきますが、そうした彼の感性の鋭さを違った角度から象徴する逸話ではないでしょうかね。

前途有望な青年の肖像

さて、ここまでに見てきた『オフ・ザ・ウォール』像というものは、非常に大人びたシックなR&B作品というものでした。ただ、それだけで終わらないのがこのアルバムの面白み。

とても21歳とは思えない表現、そんな風に何度か主張しましたが、掌を返すようですけど本作には若き天才R&Bの未来を背負う青年としてのMJの姿もコンパイルされています。ここからはその部分に注目していきましょう。

『オフ・ザ・ウォール』においてMJは2曲で単独での作詞作曲に挑戦しています。単独での作曲というのは初めてですね。先に触れた『デスティニー』でも、基本的には弟ランディ・ジャクソンとの共作名義でしたから。

そのうちの1曲が、アルバムのオープニングにして本作のリード・シングルの座を射止めた『今夜はドント・ストップ』

Michael Jackson – Don’t Stop 'Til You Get Enough (Official Video)

全編ファルセットでの歌唱は確かにキュートだし、ともすると「リトル・マイケル」的ですらあるんですが、この楽曲を誰あろうMJ自身が手がけたというのが興味深い。ファンキーでダンサブル、それでいてどこまでもキャッチーなディスコ・チューンですからね。

MJの自作曲のもう1つが『ワーキング・デイ・アンド・ナイト』。大きなヒットに恵まれこそしませんでしたが、彼のワールド・ツアーで頻繁に演奏されたレパートリーの1曲です。

Michael Jackson – Workin' Day and Night (Audio)

ディスコ・ファンクとして非常に秀逸なナンバーだと思います。リズムはパーカッシヴだし、MJのヴォーカルも歯切れがいいJB由来のリズミカルなものですしね。それこそ『スタート・サムシング』『スムーズ・クリミナル』のような、後のアグレッシヴなMJ流ファンクに繋がってくる一例なんじゃないでしょうか。

それにMJの自作曲でなくとも、あのポール・マッカートニーが提供した愛らしいラヴ・ソング『ガールフレンド』キャロル・ベイヤー・セイガーの名カバー『それが恋だから』あたりの楽曲でも彼のジャクソン5由来のチャーミングなキャラクターは発揮されていますね。

Michael Jackson – Girlfriend (Audio)
Michael Jackson – It's the Falling in Love (Audio)

本作はディスコ的なアルバムでもあるんですけど、やっぱり根っこは上質でアダルティなR&Bなんですよ。そういうサウンドって、購買層としては比較的ハイ・エイジというか、「大人の音楽」的な側面があったのも事実で。

ただ、そこにジャクソン青年の弾けるようなポップネスと瑞々しさが加わることで、しっかり全年齢的名作になっているのが本作の鍵なんだと思います。これはMJの表現力というより、このタイミングで生まれたからこそのある種の魔法ですね。

楽曲で言えば、『ゲット・オン・ザ・フロア』なんて私の主張を見事に補強してくれています。

Michael Jackson – Get on the Floor (Audio)

アップ・ビートの中でとびきりファンキーなベース・ラインが躍動しているんですけど、コーラスの作用や強烈なグルーヴはどこか大人な印象を抱かせますよね。

それでいてMJのエネルギーが有り余ったかのような溌剌とした歌唱が、一気にこの楽曲の表情を変えていきます。笑いながらどこまでも伸びやかに歌う楽曲後半でのパフォーマンスなんて、ベテラン・シンガーには絶対に真似できないでしょうから。

そこへいくと、『ディスコで燃えて』で本作を締めくくるのもそういうことですよね。『ロック・ウィズ・ユー』のような大人びた楽曲をハイライトに据えつつ、最後ではしっかりと21歳の等身大の輝きにスポットを当てている。

Michael Jackson – Burn This Disco Out (Audio)

実際次作『スリラー』では、よりポップスとして完全無欠に仕上げようとした結果、この若々しさの成分は後退していますから。それはそれで流石なんですけど、この作品でしか聴けない輝きというのが確かにあるんですよ。

“Off The Wall”の評価

リリース当時の評価と批評的「失敗」

ここからは本作に関する批評に関してつらつらと。まずは1979年当時の反応ですね。

今更言うまでもないんですけど、この『オフ・ザ・ウォール』はとんでもなく名盤です。それゆえ、リリース直後から飛ぶように売れた訳です。ビルボード総合チャートでは最高3位とまずまずですが、ブラック・ミュージックのチャートでは16週連続1位ですから。

本作からのシングルも4曲がTOP10を飾り、MJは同一アルバムから4曲をTOP10シングルにした初のソロ・アーティストの称号を獲得します。尤も、この後彼はもっととんでもない記録をわんさか樹立するんですけどね。

ただ、本作の栄光にケチをつける格好になったのが批評筋の反応です。といっても、かなり肯定的に受け入れられてはいるんです。AMAsでは3部門での受賞、Billbord Music Awardsでも2部門、そして音楽の賞レースにおける最大の権威たるグラミー賞でも「最優秀男性リズム・アンド・ブルース・ヴォーカル・パフォーマンス賞」を獲得していますから。

しかし、MJはこの普通ならば大成功とも思える結果に打ちのめされます。とりわけ、グラミーの主要4部門の中でも最大の名誉である最優秀レコード賞を逃し、「たったの」1部門での受賞だったことにです。

彼はこの結果が極めてアンフェアなものだったと述懐しています。「本作は最優秀レコードを獲得すべきアルバムだったし、こんなことは二度と起こしたくない」と。

実際、グラミー賞というのはたいへんに頑固というか、今も昔も「グラミーを取れる音楽」の傾向というものはあるんですよ。その傾向自体は時局に合わせて変わってはいるんですが、「ボーイ・グループ」への偏見というのはある種グラミーの伝統で。

近年でもBTSが一向にグラミーを取れていないのはこういう内実が絡んでたりするんですけど、「ボーイ・グループ」の元祖たるジャクソン5の一番人気だったMJにもこの影響は間違いなく降りかかります。

主要4部門を逃すだけならまだわかるんですよ、この年にグラミーを獲得したドゥービー・ブラザーズビリー・ジョエルだって素晴らしいアーティストですからね。ただ、ノミネートすらされない、「なんかマイケル結構売れてたし、R&B部門では扱っとくか」みたいなぞんざいさはやはり否めません。

この批評的「失敗」をもって、マイケル・ジャクソンは次なる一手を構想します。何故『オフ・ザ・ウォール』は、これほど優れた音楽作品なのに批評的に受け入れられなかったのか?それは、本作が極めて優れた「R&B」だったから。それではどこまで突き詰めても結局のところ、「黒人音楽」としての評価しかされない。

そう、「R&B」のままでは『オフ・ザ・ウォール』の二の舞になる。ならばどうするか?「黒人音楽」でも「白人音楽」でもない、全世界的な「ポップス」を。

この結果がどうなったかは次作のレビューでとくと語ろうと思います。ただまあ、音楽ファンであれば彼が次になんてことをしでかすか、ご存知かとは思いますけどね。

「MJの真の最高傑作」としての地位

最後にここも補足しておきましょう。この『オフ・ザ・ウォール』が、現在どういった地位にある作品か。

結論から言えば、『オフ・ザ・ウォール』はマイケル・ジャクソンのキャリアでも最も優れたアルバム作品の1つとして極めて高く評価されています。それはリリース当時叶うことのなかった、保守的な批評の世界においてもです。

このブログで何度も何度も擦り倒しているローリング・ストーン誌の名盤ランキング、この2020年の改訂版で『オフ・ザ・ウォール』は第36位。この世にある全てのアルバム作品の中で36番目に優れた作品だという大絶賛を浴びている訳です。

その他にも、大衆的、あるいは個人的な批評の中でもこの『オフ・ザ・ウォール』は再評価めざましく、「『オフ・ザ・ウォール』こそMJの最高傑作だ!」と主張される方も少なくありません。

実際、2020年にTwitter上で開催された「#みんなが選ぶ洋楽オールタイムベストアルバム100_In2020」というユーザー投票型の名盤ランキング企画においても、『オフ・ザ・ウォール』は第83位。低いように思われるかもしれませんけど、これMJの最高順位なんですよ。そう、あの『スリラー』より上なんです。

『みんなが選ぶ洋楽オールタイムベストアルバム100~51』
 51.Prince&The Revolution/Purple Rain 1984年6枚目252点52.Sigur Ros/Agaetis Byrjun 1…

つまり、少なくともこの企画に参加したTwitterユーザーの総意として、「マイケル・ジャクソンの最高傑作は『オフ・ザ・ウォール』である」となったということですからね。これ、すごくないですか?

ハッキリ言って、私は『オフ・ザ・ウォール』が最高傑作だとは思いません。もちろん大好きなアルバムなんですけど、最高傑作となるとアレっきゃないでしょうからね。

ただ、リリース当時のMJの挫折が、はるか40年以上の時を経て今日正当に評価されている事実。これは単純にとても嬉しいですし、好ましいことだと思います。

まとめ

さあ、『オフ・ザ・ウォール』のレビュー、お楽しみいただけたでしょうか?

この一連のシリーズ、当然次回は『スリラー』なんですけど、実のところ以前にディスク・レビューは敢行しているんですよね。

ただこのブログ開設当初の記事でかなり見にくいですし、「なんでこれ書いてないかな……」みたいな部分もあったりするので。多分大幅修正・大幅加筆の上再投稿することになるかと思います。

あくまでTwitter上の企画のオマケではあるので次回がいつになるかはわからないですけど、楽しみに待っていただければと思います。それではまた。

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