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感謝と尊敬と愛で選ぶ、Michael Jackson「好きな曲」ランキングTOP50+α

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皆さん、今日がなんの日かご存知ですか?何?知らない?じゃあ今すぐ覚えてください。Michael Jacksonの誕生日です。マイケル、67歳の誕生日おめでとう!これが言いたいだけの記事なのでもうブラウザバックしてもらってもいいですよ。(これは誕生日に間に合うと高をくくって書き始めたイントロです。恥を偲んで公開しております)

……冗談はこの辺にしておいて。8月29日は、私が最も愛する人物、Michael Jacksonの誕生日でした。今回は私に音楽を与えてくれたことへの感謝、ミュージシャンとしてだけではない人間としてのMichael Jacksonへの尊敬、そして尽きることのない愛を込めて、Michael Jackson「好きな曲」ランキングTOP50、やっていきます。

弊ブログ的には全アルバム・ランキングをやるのが無難なところではあるんですが……彼が生前出したオリジナル・アルバムってたった6枚なんですよね。これではランキングにするにはちとボリュームが足りんなと。

もちろん、The Jackson 5やThe Jacksonsの作品、そしてモータウン時代のソロ・アルバムも加えれば数は一気に増えます。ただそれはそれで正直作品としての性質が違いすぎて(+私の熱量があまりにソロ・キャリア以降に偏りすぎていて)、面白いものにはならないかなぁと。

それに、それぞれのアルバムに関してはもう単独でレビュー書いてますしね。“Invincible”だけ書いた時系列が違うのでいつかリライトしたいんですが、一旦彼の全アルバムを紹介することは済ませてしまっている。ならばもういっちょ踏み込んで、楽曲について語っていきましょう。

(各アルバムのレビューは↓からどうぞ)

対象としたのは、The Jackson 5でのデビューから彼が亡くなるまでの間に公式にリリースされた完成版音源。リーク音源や公式発表されたデモ・トラック、そして死後のリリースは対象外です。この辺のこだわりは語り出すと長くなるのでまたいずれ。

そして、もう彼に対しては愛着が強すぎて「名曲かどうか」みたいなことが正常に考えられない気がしているので、選んだのは「名曲」ではなく「好きな曲」。かなり容赦なく気味の悪いランキングになっておりますので、どうぞ気をつけて。では、参りましょうか。

第50~31位

第50位 “Gone Too Soon”

いきなりそこからかよ!というファンの皆様方の声が聞こえてくるようです。単純に好きの度合いで並べてるので順位に意味なんてまったくないので、今の感性だとこうなるというだけの話、深い意味はあんまりないです。アルバム“Dangerous”より“Gone Too Soon”。

その短い生涯をAIDSへの偏見と戦って駆け抜けたRyan White少年への追悼歌……なのですが。2009年6月25日以降、この曲の持つ意味は変わってしまいましたね、「みんなを楽しませ、感動させ、笑顔にするために生まれてきたんだね。ある日やってきて、あの夜いなくなってしまった……」、彼自身の50年へのレクイエムです。

歌詞が本当に美しいんですよね、流れ星、虹、雲に隠れる陽の光、砂浜のお城、崖に咲く1輪の花、そして夕暮れ。美しく儚い題材を次々に歌い、「Gone too soon」と結ぶ。素朴ですが、こんなにエモーショナルで繊細な曲はないと思います。

第49位 “Maybe Tomorrow”

“Off The Wall”以前の楽曲はこのランキングではかなり少なくなっちゃうんですが、それでも好きな曲というのはやはり一定数あります。個人的にThe Jackson 5最高の名盤だと思っている“Maybe Tomorrow”より、オープニングのタイトル・トラック“Maybe Tomorrow”。

ソロ1st“Ben”よりは前の作品ですが、この時点でモータウンのお偉方も「この子にはもっと渋い曲歌わせた方がいいんじゃない?」と気づきつつあるんでしょう。ブラスやストリングスでサウンドこそゴージャスですが、最初期のゴキゲンなバブルガム・ポップから比べるとかなりしっとりしていますからね。

この曲はなにせ後半の転調が素晴らしい。「Oh ! Baby I need you !」のエネルギーには脱帽です。どうしたってこの歌声には変声期という物理的なタイムリミットがあった訳ですけど、よくぞこの名演を残してくれたと思います。

第48位 “The Lady In My Life”

しばらく前に何かのメディアが打っていた「素晴らしいアルバムの中の残念な1曲」みたいな企画にこの曲が選ばれていて、あまりのトンチンカンっぷりに首を寝違えました。いやいや、“The Lady In My Life”は「素晴らしいアルバムの中の素晴らしい曲」だろうに。

大谷翔平か藤井聡太かってくらいに、フィクショナルな次元のクオリティで畳み掛けるモンスター・アルバム“Thriller”。その殿にこの実に丁寧なバラードがあることで、我々はしっとりとポップスの理想郷に別れを告げることができるんですよ。彼の初期キャリアの重要曲を書いたRod Tempertonの仕事が活きています。

まあ、あのアルバムのバラード枠には“Human Nature”があるのでね。地味に感じる気持ちも汲んでやれはしますが……あのアルバムでの役割はまったく別だし、こっちの如何にもスウィートな質感を軽んじるのはもったいないと思います。

第47位 “Music And Me”

個人的に思い出の曲ですね。ファンになって間もない頃、TSUTAYAで彼の作品に触れようにも映像作品は映画「Moonwalker」っきりでね。2週間おきに借りてたりした訳ですが、序盤のベスト・メドレーみたいなパートでこの“Music And Me”がさりげなく登場して、ずいぶん印象に残っていたものです。

「歌上手いなぁ」というのが最初の印象だったんですよ、まさしく「小並感」ですね。でも、この曲でそう気づいたお前は立派だぞ。当然時期的に他作の曲なんですけど、「音楽」そのものに語りかける真摯な姿が彼の生涯を知れば知るほどに胸に沁みてきます。

きっとこの曲に託した感情って、50年間彼の心の大事な場所にあり続けたものだったと思うんです。それをたった15歳で、まるでダイアモンドをカットするかのように、実に丁寧かつ綺麗に形にする表現力。天晴れですね。

第46位 “Morphine”

私はMichael Jacksonが大好きなので、だからこそ苦手な曲というのがいくつかあります。これはその筆頭ですね、音楽的には大好物なのでなんとか今回の50曲に選びはしましたが……その名も“Morphine”。

あの痛ましい大火傷からMJは鎮痛剤への依存と長らく戦うことになり、件の疑惑で疲弊してからはその依存はますます深いものになってしまいました。それを自身で告発するという内容の曲ですね。“HIStory”ですらここまでのものはなかったくらい暴力的なヘヴィネスから、唐突に始まるバラードが挿入される展開は鮮やかです。

でも、これは明白に中毒でハイになっている時間とそこへの苦しみの対比になっていますから。なまじ展開が鮮やかなばっかりに、痛ましさは増すばかりです。バラードから抜け出す刹那、「Uh!!」のシャウトなんてその意味を考えるとね……

第45位 “The Lost Children”

先に断っておきますが、このランキングは異常にアルバム“Invincible”に忖度した内容となっております。その中で先陣を切ってもらいましょう、子どもたちへの慈しみをめいっぱいの温かさで表現した名曲“The Lost Children”です。

タイトルからして失踪した子どもたちへの歌とみなされがちですが、あの博愛主義がムーンウォークしてるみたいなMJがそこまで限定的な曲を書くかというと個人的にはしっくりきてなくて。もっと精神的な意味を含めた「Lost」だと思うんですよ。「居場所のない子どもたち」と訳すのが適切ではないかな。

で、文字通りの子守唄ですから、そのメロディの優しさと明瞭さは意識的な部分になってきます。ここまでシンプルかつ柔らかく味付けしたバラード、“Heal The World”かこれかというレベルだと思いますね。

第44位 “The Love You Save”

「マイケル坊や」が過去の話となったソロ活動のステージでも、メドレー形式とはいえ欠かさずステージで披露してきた“The Love You Save”。“ABC”と“I’ll Be There”に挟まれてしまっては初期シングル群の中で埋もれてしまいそうなところですが、これもすこぶるハッピーな名曲ですね。

如何にモータウンがコーラス・グループというフォーマットにめっぽう強いか、よく分かる1曲だと思ってます。コーラスのさりげなさがことごとくいい仕事をしていてね。イントロのベースのハミングなんて、あれがあるとないとではこの曲の瑞々しさが大違いですよ。

このあと登場するモータウン時代の楽曲でも語るんですが、「マイケル坊や」の一番の凄さってあの歌声でソウル/R&Bの気持ちいいところを頭で理解して歌い上げる利発っぷりにあると考えています。が、この曲はもっと年相応な、わんぱくぶりがあるのが魅力だと思いますね。いや、十分化け物じみてはいますけど。

第43位 “Blood On The Dance Floor”

制作時期は“Dangerous”期ということで、あわやお蔵入りかというところでリミックス盤の表題として世に出ることになりました“Blood On The Dance Floor”。ツアーでもニコニコしながら披露していた辺り、お気に入りなんでしょう。

ビートのパンチはやはり“Dangerous”期らしい質感ですが、1990年代以降としては珍しくちゃんとファンキーなんですよね。それに、低音の効いたヴォーカルのエロスからボルテージをあげていくメリハリも素敵です。実際のリリース時期もあって、むしろ“Invincible”の作風とも呼応するニュアンスがあるとも感じます。

どうしても意識の中では“HIStory”の作品群とセットになっているのでこれもダークな楽曲だと感じていたんですが、ちゃんと聴くと結構お気楽なナンバーだと最近気づきました。このお気楽さをこの時期のサウンドでやってるのが気持ちよさの鍵なんですね。

第42位 “For All Time”

明確にアウトトラックと記載されているので選ぶかは悩んだんですけど、一応MJの生前に“Thriller”25周年盤で正式に日の目を見ているということで扱います。とはいえ録音時期はこちらも“Dangerous”なのでチグハグなんですが、よほど披露したかったのかな。いい曲です。

作曲にはあのSteve Porcaroが参加していて、となると当然“Human Nature”を我々は思い出す訳ですが、比較したって遜色ない柔らかなバラードです。もっとメロウネスの主張が強い、正統派なバラードに仕上がっているのが差別点なのかな。ブリッジのハーモニーから一気に盛り上げる展開なんて聴きようによっちゃなかなかあざとくもあり。

“Dangerous”はファンの贔屓目で見てもバラードが多すぎるので、これをカットするのは仕方なかったのかなとは思うんですが、案外こういうストレートなラヴ・バラードってあの作品に欠けている要素なのでね。うっかりリリースされていればうっかり大ヒットした気がしないでもないんですが。

第41位 “Shout”

シングル“Cry”UK盤のカップリングという、超がつくマイナー曲“Shout”。今回のルールで扱える楽曲としては“For All Time”と並び一番端っこの曲でしょう。ただ、この曲を選ぶのがただのマニア気取りでないことはファンの方には伝わっていると思います。

あまりにヒップホップが流行るもんだから、MJが痺れを切らしてラップしちゃったという趣の曲なんですよね。しかもギターの効いたソリッドなトラックで、かつてなく低音を響かせた声色を使って。ただ流行に乗っかるだけじゃない、きちんと吸収して再構築した痕跡をこれでもかとクールに刻みつけています。

彼のアルバム未収録曲って、「まあ確かに入れるタイミングないよね」となりがちなんですが、こればっかりは流石に“2,000 Watts”が空気を読んで席を譲るべきだったと思います。あのアルバムがバラードだけじゃないってことを知らしめる絶好の材料なんですから。

第40位 “Heaven Can Wait”

イマイチ影の薄い曲ですよね、“Heaven Can Wait”です。アルバム“Invincible”の中で、似てる方向性で他に名曲がまだまだあるのも影が薄い要因なのかなぁ……実際私も、順位をつけるとなるとこの辺りが限度でしたし。

「君を置いて天国にはいけない」という父性が音としてもはっきり主張されていますよね。滑らかさはそのままに肉付きのよくなった歌声で熱烈にシャウトされてはたまんないです。MJのある種の「がなり」がこういう方向に進化するというのは興味深いですね、できることならもっと年齢を重ねた歌声も聴いてみたかったなぁ……

と、これはモチーフのせいでもある訳ですが、聴いていて否が応でもセンチな気持ちになるのでなかなか箸が伸びないというのも内実ではあります。だって結局天国は待ってはくれませんでしたからね。あと、せめて2週間でよかったのに。

第39位 “Little Susie”

鎮痛なレクイエムから始まる“Little Susie”。クラシック音楽の引用からというのは“Will You Be There”や“History”でもやってるので斬新って訳ではないんですが、必然性という意味ならこちらに軍配が上がるでしょう。

ウキウキのラヴ・ソングであれ敵意に満ちた口撃であれ、彼の音楽はほとんど全て主語が彼自身。その没入っぷりもまた才能の1つなんですが、この曲では過去にない次元で深く潜り込み、その魂はいたいけな、そして惨たらしい最期を迎えた少女へと託されます。悲痛な曲ながら美が勝るのは、ここで彼が一旦MJから離れたからこそ。

そうでもしないと、こんな辛い曲世に出せないですから。少なくとも「キング・オブ・ポップ」は出しちゃいけない曲です。ただ、それでもこの悲壮は出力せねばならなかったのだろうし、結果としてこの残忍で美しい1編の詩が生まれたというのは運命の悪戯にも思えます。

第38位 “Say Say Say”

この当時 Paul McCartneyと作った3曲の中ではズバ抜けて名曲ですね。大ヒットも記録した“Say Say Say”。正直な話、“The Girl Is Mine”じゃなくてこっちを“Thriller”に入れておけばもう1000万枚くらいは売れたんじゃないかな。

まあ、こっちはPaul McCartney色がやや強いので、そうしなかった理由というのも分かるんですけど。でもねえ、人類で「ポップス」が上手い人の1位と2位がタッグを組んで、一貫してお気楽でチャーミングなことをやればどうなるか、そんなもの名曲に決まっている訳ですよ。これがMJのカタログとして手に入りにくいのはちょっと悔しいです。

もちろん、“The Man”と共にMcCartneyのアルバム“Pipes Of Peace”に収録されているので、レア曲という訳では全くないですよ。ただ、この時期の何やらせても100点満点なMJの無邪気なえげつなさを知る上で大事な曲ですからね。

第37位 “Never Can Say Goodbye”

The Jackson 5のバラードとなると、個人的に“I’ll Be There”よりこっちなんですよね。“Never Can Say Goodbye”。MJ本人もお気に入りだったらしいです。

やはりこの時期の「マイケル坊や」の魅力って、変声期前のハイ・トーンでもって本気のソウルを歌う、あの大人には絶対できない熱量だと思います。あどけなさなんて感じさせる余地のないそれ。ここのところがよく出てるんですよね。あの音域で掠れさせながらパワフルに歌われてしまっては、もう黙るしかありません。

甘いコーラスを従えている様も、「No no no」のパートで熱を帯び、そしてスッと引いていく演奏との息の合い方も、とにかく上手いんですよねぇ……これを頭で考えてやってるのが天才少年すぎます。

第36位 “I Just Can’t Stop Loving You”

アルバム“Bad”の、5曲連続で全米No.1シングルを達成という伝説の始まりはここからです。先行シングルで、Quincy Jonesの秘蔵っ子Siedah Garrettとのデュエット“I Just Can’t Stop Loving You”。

デジタル・サウンドへの関心、そしてポスト“Thriller”ゆえのブラック・ミュージックからのさらなる別離の結果として、“Bad”には音の「黒さ」がかなり希薄になっていますが、この曲は例外の1つですね。ロマンチックな甘さがたっぷりと充満した愛の囁きには、デュエットゆえかMJの歌唱上の手癖みたいなものがやや抑制された、正統派のソウルフルな名唱を聴けます。

Siedah Garrettの歌声も魅力的ですよね。James Ingramといい、Quincy Jonesはシンガーの評価もいいセンスしてますよ。ただ、これに関しては一説にはWhitney Houstonとのデュエットになる計画もあったそうですが。まあ、それは天国で聴けると思うのであと何十年かは我慢しておくことにします。

第35位 “Blame It On The Boogie”

どんなに悲しいことがあっても、この遠足前日の小学生も驚きのウキウキっぷりを誇る“Blame It On The Boogie”を聴いてしまえば問題ありません。多幸感という意味では、ここまでのものはなかなか他に見つかりませんから。

ネタバレしちゃうと、The Jacksonsから唯一のランクインです。“Shake Your Body”よりこっちというのは常道ではないかもしれないけれど、MJのヴォーカル・スタイルがより個性的に光っている点、そしてもっとずっと明白にファンク/ディスコに接近した享楽的なテンション、この辺が個人的にどうしようもなく好きでして。

“Off The Wall”でソロ・キャリアをキック・オフして以降、この無邪気さってどんどん失われていく性質です。そう考えてみれば、たいへんにお気楽な曲調に反して、このピュアっぷりには何かMichael Jacksonの真髄を見る思いですね。

第34位 “Human Nature”

TOTOが演奏してプロデュースはQuincy Jones、あのMiles Davisもレパートリーに加えた……と言えば途端に権威じみてきますが、全部本当のことです。アルバム“Thriller”では4番目に有名な曲こと“Human Nature”、いい曲ですよねぇ。

安楽椅子に深く腰掛けているようなJeff Porcaroのグルーヴ(スネアの直前に入る16分裏のバスドラムがこの曲のキモだと思っています)に始まり、恐るべきメロウネスを描き出すサウンドがもうお見事。そしてその上で、あるいは夜のNYを舞台に、いたずらっぽく歌うMJ。なんだってこんなに愛おしいんでしょうね?

茶目っ気とエロスが絶妙にブレンドされた、楽曲の世界に溶け込むようなヴォーカル・パフォーマンスも素晴らしい。“Bad”で歌唱スタイルを確立する前だったからこそ、この器用さが発揮されているのだと思います。

第33位 “Bad”

無茶苦茶生々しい位置に生々しい曲がきたなと、我ながら思います。知名度だけなら最上位であろう“Bad”が絶妙に第位。もし構想通りPrinceとのコラボレートが実現していたら……いや、そんな妄想はやめておきましょう。

でも実際、ここまでMJが特定のアーティストを意識した曲って他にないんですよね。アルバム全体で「ミネアポリス・サウンド」に順応しようとはしていますが、このバッチバチに硬いビート、流石に露骨です。それに思えば、この曲でのスパイシーなキャラクターだって、それまでの全年齢的スーパースターな彼からすると涙ぐましい努力を感じるじゃありませんか。

ちょっと茶化すようなコメントになりましたが、それをちゃんと大ヒットさせてしまうだけの咀嚼あっての“Bad”です。そこはちゃんと言っとかないとね。その柔軟性って、実は彼が「キング・オブ・ポップ」たる所以の1つなので。

第32位 “2 Bad”

本家?の“Bad”より上というのはMJ的にはもしかすると忸怩たる思いかもしれませんが、文句ならいい曲を書いた自分に言ってほしいですね。“HIStory”より“2 Bad”です。ファン的にはショート・フィルム“Ghost”でのイカついダンス・パフォーマンスでお馴染みの1曲。

“HIStory”でのMJってほとんどの曲でカチキレてるので、相当聴いてて参っちゃうんですが。この曲もちゃんとブチギレつつ、それを挑発という形できちんとアウトプットしているのがいいですね。そういう彼なりのセルフ・ボースティング的な主張も“Bad”と重なりつつ、こっちはかなりお口が悪うございます。それもまたヒップホップとの結びつきとして面白い現象になっていて。

これくらいのエンタメ性まで“HIStory”の温度感を持っていけていれば、また世間の評価も変わったような気がしないではないです。それが当時の彼にとって必要なものかはともかく。あのアルバムにおいて、かすかながら「キング」の威厳が発揮されている例として意外と重要では?

第31位 “Unbreakable”

アルバム“Invincible”からの先行シングル、MJ本人は“You Rock My World”ではなくこっちにしたがっていたというのも有名な話です。アルバムのオープナーを務める“Unbreakable”。彼がシングルに推すのも納得の出来栄えですね。

上物というよりはビートとして機能している鍵盤の凄みと、肩をいからせて闊歩するような威厳あるスロウなテンポ。この悠然とした気風に90’sの刺々しさをきちんと調和させているんですから素晴らしいですよね。コーラス主導で進行するお決まりの展開も、テンションを高めるブリッジ、そこからのラップ・パート、全部が大人のエロスを纏っています。

これをシングルで出せていれば、世間もずいぶんと驚いたでしょうね。ネオ・ソウルに対する「キング・オブ・ポップ」からの回答、いや、挑戦状と呼ぶべき内容ですから。願わくば、この曲で踊る彼の姿も見てみたかったものです。

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