前回に続いて第2回。この企画がなんぞや?というのは「ボーカリスト編」で説明していますので先にそちらをご覧ください。
今回はギタリスト編。バンドの花形であると同時に、一番好みが出そうな分野だと思います。超絶テクニックのメタル系が好きな人がいれば、コテコテのブルース・ギターから選出する人もいるでしょうし、他にもカントリー、フォーク、ジャズ、どの分野にも名ギタリストがいますから。
しかしコレは私ピエールのブログ、如何なる権威にも厄介な音楽ファンにも屈しません。ただただ私が好きなギタリストを選んでいきますよ。では、参りましょう。
第5位 プリンス
第5位に殿下ことプリンス。この人、ボーカリストでも選びたかったんですが上の層が強すぎて選外となってしまったのでここでランク・インさせました。
ローリング・ストーン誌が選んだ「最も過小評価されているギタリスト」のランキングで第1位という、名誉なのか不名誉なのかよくわからないポジションですけど、この人のギターの存在感って凄まじいものがあると常々思っていて。
なんでもできる人じゃないですか、プリンスって。ギターのスタイルだけでも、ロックぽかったりファンクぽかったり、色んな要素を包含しながら結局「プリンス」としか表現できないサウンドを構築しています。
ギタリストとしてのプリンスの個性を知る上で非常に面白い映像があるんですよね。「ロックンロールの殿堂」での『ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス』のカバー。有名な映像ですがどうぞ。
トム・ペティにジェフ・リンと、錚々たるメンツが非常にオリジナルに忠実なプレイを見せている中、最後のギター・ソロを務めるのがプリンス。絶対にクラプトンが弾かないであろう、プリンス節全開のソロを延々と弾き続けます。
ロック・ギターの聖典みたいなこの曲でここまで唯我独尊の演奏ができる、その上で空気感を壊すことはないというこのギリギリのバランス感覚がある人ってなかなかいないと思うんですよ。なんでもできるプリンスだからこその演奏ですし、こういうところが彼の魅力なのかなと。
4EVER第4位 ブライアン・メイ
ボーカリスト編に続いてクイーンのメンバーがランク・イン。バランスなんてものは気にしていません。第4位にはブライアン・メイです。
いわゆる「ロック・ギタリスト」の世界で、この人の唯一無二っぷりは正直圧倒的だと思うんですよね。ギター聴くだけで絶対にクイーンの曲だってわかりますし、多分クイーン以外でこんなギター鳴ってたら浮いて浮いて仕方ないと思います。
その独特なサウンドはハンド・メイド・ギター、「レッド・スペシャル」を6ペンス硬貨をピックにして弾き、ジョン・ディーコンが改造した特注のアンプ「ディーキー」を用いることで初めて再現できます。このラノベもびっくりの設定の多さ、そりゃ真似できませんよね。
そのサウンドは正に変幻自在、初期のアルバム・クレジットには「ノー・シンセサイザー(シンセは使っていません)」の断りを入れなければならないほどに様々なサウンドを表現しています。
すごく好きなエピソードがあってですね。クイーン初の全米1位となった『愛という名の欲望』という曲のレコーディングに際して、メイはなんとかレッド・スペシャルでテレキャスターの音を出そうと悪戦苦闘するんですがなかなかうまくいかず。見かねた誰か(ロジャー・テイラーだったかな)が「テレキャスターの音出したいならテレキャスター弾けよ」とツッコんだという……笑
何はともあれ、ギターでの表現の多彩さとその個性という点では、ブライアン・メイは圧倒的です。ギターの音色だけでなく、プレイヤーとしてもかなり器用ですしね。フレディ・マーキュリーの影に隠れがちですけど、この人も十分ロック・レジェンドなんですよ。
グレイテスト・ヒッツ(生産限定盤)(MQA/UHQCD)第3位 ジミー・ペイジ
第3位には「3大ギタリスト」の一角、ジミー・ペイジ。ネタバレしますけど、残り2人は今回ランク外です……
なんでペイジを選んだのかというと、圧倒的なカリスマ。コレが本当に大きい。この際技術の巧拙は一旦置いておいて、あんなにギターをカッコよく弾ける人間っていないと思うんですよね。
ただ、そういうアイドル的な評価だけでプリンスやブライアン・メイの上には来ない訳です。なんというかペイジのギター・プレイって、すごく絶妙な崩れ方だと思っていて。
そこを指摘して「下手くそ」なんて言われちゃうこともありますけど、レッド・ツェッペリンのあの渾然一体としたロック・サウンドって、決して彼らの演奏が緻密ではないからこそ生まれるものじゃないですか。ボンゾは走るしペイジはモタるし、その微妙な合間を縫うようにジョンジーがベースで色気を出す。
そういう、ロック的な心地よさを演出する能力はジミー・ペイジがナンバーワンだと思うんですよ。ある程度意図的な部分もあると思ってるんです。もちろんクスリ漬けだった時代なんかはフィジカルの問題で弾けてない訳ですが、そこもまたいい味になっていたりして。……擁護しすぎですか?
アドリブ・ソロなんかも、上手い下手じゃなくもう本能的なカッコよさに満ち満ちている。ベタですけど『天国への階段』のソロを聴けば一発でノックアウトでしょ。何回聴いたかわからないしなんならソラで歌えちゃいますけど、それでも聴くたびに鳥肌が立つ訳で。
第2位 和嶋慎治
第2位に人間椅子の和嶋慎治。おいおい日本人がペイジより上かよ、と思うかもしれませんが、この人のギターはもう抜群ですよ。
まずこの人のスゴさは引き出しの数。人間椅子のギターな訳ですから基本的にはハード・ロックのスタイルなんですけど、ブルースからアコースティックから、なんでもこなせます。
それに研究量が尋常じゃないんですよね。人間椅子のカバー聴けばわかるんですが、再現率がとてつもない。サバスやらせれば完全にアイオミだし、クリムゾンやらせれば完全にフリップ。ここまで色んなギタリストのスタイルをコピーできる人ってなかなかいないと思います。
しかも単なるモノマネという訳でもなく、オリジナリティに溢れているのも素晴らしい。『りんごの泪』や『どだればち』といった楽曲で披露している津軽三味線ギターは青森出身の彼にしかできないプレイですよ。
ロック・ギターって、それこそチャック・ベリーを始祖として色んなスタイルを確立してきましたけど、和嶋はそのほとんどを網羅していると言っていいと思います。明治の文豪のような外見ですけど、その演奏は舶来のギタリストを凌駕する絶品ぶりです。
人間椅子名作選三十周年記念ベスト盤(通常盤)第1位 デヴィッド・ギルモア
堂々の第1位はピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモア。並み居るギタリストを抑えて、個人的に最も好きなギタリストが彼なんです。
プログレッシヴ・ロックの代表格みたいな扱いをされているピンク・フロイドですけど、ギルモアのプレイってものすごくオーソドックスじゃないですか。それこそ世界最高のギター・ソロの1つである『コンフォタブリー・ナム』なんて、一切飛び道具を使わない真っ向からのプレイ。
フロイドが世界的成功を収めた最大の理由って、私はギルモアのプレイにあると思っているんですよ。あれだけアーティスティックでダークな世界観を展開しながらも、サウンドの核を担うギルモアは正統派ギタリストですからね。そこが作品に地に足ついた落ち着きを与えているんじゃないかと。
そう、彼のプレイってすごく作品全体に奉仕するんですよ。もちろん前面に出てくる瞬間もたくさんあるけど、『クレイジー・ダイアモンド』みたいな例外を除いて基本的に楽曲や作品そのものを中心に据えた演奏。これ、超絶技巧の速弾きなんかより遥かにテクニカルだと思うんです。
それでいて、楽曲によってはバリバリにアーミングしてむせび泣くことだって軽くこなす訳です。本当に器用かつ音楽的な人ですね。パラメータの全部が振り切れているタイプのギタリストだと思います。
Live at Pompeii / [Blu-ray]まとめ
ボーカリスト編に続いて今回は私のフェイバリット・ギタリストTOP5の発表でした。
自分で順番に並べてて思いましたが、基本的に私のギタリスト観って「オールマイティかどうか」が大きな判断材料みたいですね。エディ・ヴァン・ヘイレンみたいなバリバリのギター・ヒーローももちろん大好きなんですが、器用なギタリストがより好みというのは我ながら面白い傾向だなと。
ギターに限らずですけど、ボーカルと違って楽器を媒介する関係上テクニックやニュアンスがより微妙な味わいを生むと思っているんですよ。それこそギターから出る音そのものは同じな訳ですから、だからこそ、そこに生まれるわずかな違いが重要になってくる気がします。
さて、次回はベーシスト編ですね。お楽しみに。それではまた。
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