先日Twitterでやっていた「ビートルズ全曲レビュー」という企画を完遂しまして。
↑のリンクから是非みていただけたらと思います。まあザ・ビートルズの全曲をタイムラインに沿ってレビューしていくという、それだけの企画だったんですが。
どうせこういう企画したんなら、もうちょっとこすらせてもらってもいいのかなと思いまして。具体的にはブログのネタにしようかなと。アルバム・レビュー単体の記事の1番人気も今のところビートルズですし、みんななんだかんだビートルズは大好きでしょうし。
ということで今回はビートルズ関連企画第一弾、ひとまず「全アルバムランキング」に参りましょう。
もう今回は歴史的意義みたいな部分は完全に度外視してます。私が独断と偏見、それからザ・ビートルズへの海よりも深い愛情に基づいて、好きな順番に並べていきましょう。
ただ、ビートルズって8年の活動で13枚もアルバム出してるんですよ。ブラック企業も驚きのハードワーク。なので1つの記事で全ランキング発表するとかなりヘヴィになっちゃうんですね。
なので今回は前編、13位から6位までを見ていきたいと思います。トップ5を後編に引っ張る、ひと昔前のテレビ番組みたいな構成でいこうかと。それでは改めて、参りましょう。
(目次に順位と作品名が反映されちゃうので、結果を読みながら知りたい!って方は速攻で目次を非表示にしておいてください。一個人のランキングにそこまでハラハラドキドキ感もないとは思いますが念のため)
第13位『イエロー・サブマリン』
栄えある最下位(?)は『イエロー・サブマリン』。まあ、これは予定調和というかだいたいの方がこうなるんじゃないでしょうか。
やっぱりB面がジョージ・マーティンの劇伴曲というのがね……アレはアレでいいものなんでしょうけど、我々が求めているのは「ザ・ビートルズ」ですからね。コレジャナイ感は否めません。
それに既存曲の使い回しもあるというのもね。映画のサントラという立ち位置の作品は他にも数枚ありますけど、この作品はそれがよくない方向に出ちゃっている印象です。当時のバンドの状況なんかも加味すると仕方ないとは思うんですが。
このアルバムを聴くことは正直滅多にないんですけど、『ヘイ・ブルドッグ』という傑作が収録されているのが救いでしょうか。あの曲、それこそ『アビー・ロード』あたりに入っていればもっと評価されたと思うんですよね。
イエロー・サブマリン第12位『ビートルズ・フォー・セール』
ここからもう波乱を呼びそうでヒヤヒヤしてます。ブービー賞は第4作にあたる『ビートルズ・フォー・セール』。
このアルバムはねぇ……A面だけならビートルズでもトップ・クラスに好きなんですよ。というより冒頭3曲が素晴らしすぎます。『ノー・リプライ』、『アイム・ア・ルーザー』ときて『ベイビーズ・イン・ブラック』って。「ジョン・レノンやっべえ」以外の感想が出てこなくなります。
カバーですけど『ミスター・ムーンライト』のイントロの絶叫も最高ですしね。このテンションと密度が続けば初期の傑作になったと思うんですけど、如何せん後半が弱いというか。そこまで印象に残らないんですよね……
クリスマス商戦に間に合わせるための急ごしらえだったとか、ビートルマニア全盛期でメンバーがヘトヘトだったとか、そういうエピソードを見てもわかる通りどうにも突貫工事な感があるんですよね。尻すぼみになっちゃっているのもその辺りの影響なのかなと。
好きな曲もたくさん収録されているんですけどね、「アルバム」という括りで評価すると他の作品に一段劣っちゃうのかなということでこの位置です。
ビートルズ・フォー・セール第11位『ウィズ・ザ・ビートルズ』
(初期ビートルズ好きに○されそう)
本音が漏れてしまいましたが第11位はセカンド・アルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』。いや、初期も大好きなんですよ?ただ上が強豪すぎてこの辺の作品は地区予選敗退もやむなしというかなんというか。
このアルバム、とにかくカバーが傑作揃いですよね。『マネー』なんて、モータウン好きの私が思わず「ビートルズのバージョンの方がいいな」ってなっちゃうくらいに好カバー。
それにオリジナルも1曲目の『イット・ウォント・ビー・ロング』からボルテージMAXですし、何より『オール・マイ・ラヴィング』。この曲入ってくる段階でもう無理にでも順位を上げてやりたいくらいです。
ただ、『フォー・セール』と同じ感想なんですけど、後半がどうしても前半に比べてパンチに欠けるんですよね……『ナット・ア・セカンド・タイム』という傑作はありますけど、アレも地味っちゃ地味な楽曲ですし。バランス感覚という意味でのアルバムの完成度はまだまだ発展途上なのかな、と。
ウィズ・ザ・ビートルズ第10位『レット・イット・ビー』
大好きなアルバムです。とか言いながらこの位置なんですけどね。『レット・イット・ビー』が第10位。
楽曲のパワーだけでいったらバンド史上屈指じゃないですかこのアルバム。なにせ『レット・イット・ビー』に『アクロス・ザ・ユニヴァース』に『ゲット・バック』ですよ。脇を固める曲も、例えば『アイヴ・ガッタ・フィーリング』なんて大名曲です。
じゃあなんでこの位置なのかというと、やっぱり展開の散漫さが目立っちゃうんですよね。そもそもお蔵入りした「ゲット・バック・セッション」を無理やりフィル・スペクターが形にした訳ですから、どうしたって作品の全体像は歪んじゃうと思うんですが。
それにしたってもうちょっとやりようあったんじゃないかなとは思うんですよね……まあレノンやハリスンはスペクターの仕事ぶりに感銘を受けてソロ活動でも彼をプロデューサーに指名していますが。あと、『ドント・レット・ミー・ダウン』を選外にしたのはいただけないです。
アルバムの完成度という意味でも、個人的には『レット・イット・ビー…ネイキッド』の方をよく聴きます。あっちの方がビートルズらしさを感じちゃうんですよね、スペクターには申し訳ない限りですが。
レット・イット・ビー第9位『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』
ああ、もういつ刺されてもおかしくないですねコレは。自覚してます。第9位にポピュラー音楽史上の金字塔、しばしばロックの最高傑作とも目される『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』です。
今まで散々ブログでポピュラー音楽史みたいなものを大事にしてきたので、この作品の意義ってのは重々承知してます。それに傑作だとも。決して嫌いとかそういうことじゃないんです、本当です信じてください。
ただ、楽曲単位で見たときの弱さ、コレは事実としてあると思うんですよね。『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ』もぶっちゃけレノンのサイケデリック・シリーズの中ではちょっとフリーキーすぎて苦手な部類ですし……『ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト』の方が個人的には好きです。
それに、コンセプト・アルバムとしてもそこまでコンセプチュアルじゃないしなぁ……という印象もあるんですよ。「架空のバンドのライブ演奏」やってるの最初と最後だけですし。偉大さ先行で評価上がりすぎじゃない?とは結構前から思ってたんですよね。
まあどれだけガタガタ抜かそうが、『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』があるという一点だけでこの作品は必聴なんですが。このアルバム聴きたくなる時って、この曲を100%楽しむために聴くって感じなんですよね。アルバムそのものとしての愛聴レベルでいうとそこまで高くはない、ということでこの位置です。
サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド第8位『マジカル・ミステリー・ツアー』
第8位には『マジカル・ミステリー・ツアー』。ついこの間サイケ入門の記事でもご紹介した1枚ですね。
そっちでも書きましたが、このアルバムって元はアメリカ編集盤なのでこういうランキングの対象にするのはちょっとはばかられる感覚もあるんですけど、それはそれとしてこの作品の内容の充実度はスゴイですからね。
ビートルズのアルバムって、基本的にシングルは収録しない方針な訳ですよ。だからこそさっきから何度か言っている「曲レベルの弱さ」みたいな部分が生まれるとも思っているんですが。
ただ、この作品は編集盤ですからね。そういう法則を全無視してシングル曲マシマシの超ハイ・カロリーなアルバムに仕上がっています。そんなことするとトータルの温度感も壊れそうなものですけど、そこはサイケデリック・ロックの色彩でうまくまとめられているのもニクいポイントで。
もうサイケ・ビートルズのベスト盤と呼んじゃってもいいくらいには濃い内容の作品です。というか『アイ・アム・ザ・ウォルラス』が大好きすぎてもうダメですね。コレだけで贔屓したくなるってもんです。
第7位『ヘルプ!』
ここから全体の折り返し、偏差値でいうと50オーバーになってきます。まあビートルズの作品はだいたい総合偏差値75くらいあるんですが、その超エリートの中でもこの辺は強者です。第7位には『ヘルプ!』がランク・イン。
この作品、本当に過小評価されていると思うんですよ。個人的にはビートルズ入門の最初の1枚にすすめたっていいくらいの名盤だと思っています。
なにせ『ヘルプ!』と『イエスタデイ』、このビートルズどころか音楽史上でも指折りの大名曲が揃って収録されているのがそもそもトンデモない。コレだけでその辺のアーティストならマスターピース必至なのに、何故かこの作品は影が薄いんですよね……
他の楽曲だって、『悲しみをぶっとばせ』に『涙の乗車券』、『恋のアドバイス』と名曲が目白押しです。その中でも個人的なイチオシは『夢の人』。もうポール・マッカートニーにアコースティック・ギター持たせてサラッとした名曲書かせたら天下一品ですよ。訳わかんないくらい大好きな曲です。
それにラストは『ディジー・ミス・リジー』のカバーでロックンロール!に締めくくる、この初期のテイストがしっかりと残っているのも評価高いですよ。ザ・ビートルズの美味しいところ、それが全部詰まっていると言ってもいい内容です。
ヘルプ!第6位『プリーズ・プリーズ・ミー』
前編でご紹介する最後の作品、第6位はデビュー・アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』です。
「おいおいお前は初期はそこまで好きじゃないんじゃなかったのか」と思われたそこのあなた。それは誤解なんですって。確かにこの作品って「アーティスト、ザ・ビートルズ」って感じじゃないですけど、ここまでノリノリのロックンロール・アルバムってなかなかないと思うんですよ。
デビュー・アルバムで予算もなく、レコーディング期間はわずか1日。如何にも一山いくらの新人バンドって感じのスタートですけど、その環境が結果としてザ・ビートルズのロック・バンドとしての魅力を生々しく表現させている感じがあるんですよね。
確かにカバーも多いですけど、この作品は本当に失速しないんです。『アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア』の「ワン、ツー、スリー、フォー!」でいきなりテンションが上がって、気づけば『ツイスト・アンド・シャウト』までいっちゃう。
またこの『ツイスト・アンド・シャウト』が最高のカバーなんですよね。有名曲を褒めるのモグリみたいでアレですけど、でもこの曲はやっぱりスゴイ。レノンの枯れたシャウトがもうロックンロールそのものって感じです。
プリーズ・プリーズ・ミーまとめ
さあ、第6位まで一気に見ていきました。もう炎上必至、どう転んでも有識者の方々にどやされそうな内容になってしまっていますが、まあ独断と偏見と愛で選ぶってタイトルにありますからね。気にせず好きなようにランク付けしたらこうなりました、ということでここは一つ。
途中にも書きましたが、ビートルズの作品って段階である程度の名作であることは担保されているとは思うんですよ。だから決して下の方にいる作品が駄作だ、みたいな主張じゃないことはどうかご理解ください。あくまで私の好みに基づいたランキングですから。
さて、残るはトップ5な訳ですが、残った顔ぶれ(あえて作品名は出しませんが)は割と順当かなという気がします。『サージェント・ペパーズ』が普通はここに入ってくるんでしょうけど、それ以外はまあこんなところじゃないですか?
後編は近日公開ということで、前編を楽しんでくださった方も、「コイツは何も分かっちゃいねえ」とお怒りの方も、後編もあわせてお読みいただければと思います。それではまた。
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