Twitterでも告知しましたが、「50枚deマスター!プログレッシヴ・ロック編」というnote記事を有料公開しました。
これまでTwitterとブログで色々な音楽関連の話題を発信してきましたが、今回は初めてのnoteでの発信。この記事はこれまでに発表したどのコンテンツよりも充実した自信作。是非お読みください。
今回はこのnote記事の編集後記、執筆に至ったいきさつや苦労話をゆるく語っていきます。それでは、参りましょう。
「50枚deマスター!」企画のいきさつ
そもそも、「50枚deマスター!」ってなんだよというところからですね。
このブログの人気企画に、「5枚de入門」シリーズというものがあります。「人気記事」のところにも出ていますね。(スマートフォンからご覧の方は画面右下のサイドバーから見られるかと思います)
で、自分で書いていて思ったのが
「5枚じゃ全然足りなくない?」
ということ。
当たり前ですよね、1つのジャンルをたった5枚で理解しようなんて土台無理な話ですよ。自分で企画趣旨否定しちゃいますけど。それでも最初の1歩として名盤を紹介することの意味は絶対にあると思っていますが。
5枚聴いたあと、そこからどういう作品を聴くのか、この2歩目がものすごく大事じゃないですか。ある程度その音楽の性格みたいなものを把握しながら、どんどん広大な世界に踏み込んでいく。この探究の楽しさは音楽ファンなら理解できると思います。
その楽しさを、私が提供できればいいな。そういうところから始めたのが「50枚deマスター」企画です。プログレ・ファンとしてまだまだ聴いてほしい作品もありましたから。平たく言ってしまえばピエール流のディスク・ガイドですね。
どういう記事なのか?
上で話したようなきっかけでこの企画を始めたとして。実際どういう内容なのかという話ですよね。
如何せんプログレってもの自体が今では廃れてしまって、なかなか有名どころ以外は見つけにくいというのが初心者にとっては結構な障害になっていますよね。私もプログレにハマった当初は何から聴いていいものか困ったことがよくありました。
そこでこのnote記事では、プログレッシヴ・ロックのファンにとってはおさえていて当然の作品群、けれどもプログレ初心者にとっては見たことも聞いたこともない、それくらいの距離感の作品を取り上げています。
なかなかイタリアやドイツの音楽に触れる機会ってないじゃないですか。英語ですら抵抗感のある日本人のことですからね、もうヨーロッパ諸国なんて普通に音楽聴いている分には意識すら向けないかもしれません。
ただ、今回はそういった国の作品にも多く枠を割いて紹介しています。むしろそこがプログレッシヴ・ロックの醍醐味と言ってもいい部分ですからね。扱った国としては
- イギリス
- イタリア
- ドイツ
- フランス
- オランダ
- スペイン
- ギリシャ
- アメリカ
- 日本
と、こういったラインナップ。スペインのプログレってなんだよと思うかもしれませんが、コレがまたいいんですよ。どういった作品なのかは記事の方でレビューしていますからそちらでご確認ください。
この記事で紹介した50枚のアルバムを聴けば、もうどこに出しても恥ずかしくないプログレッシヴ・ロック・ファンになること間違いなしです。というより、そこから先はどんどんその人自身で探求できるようになると思うんですよ。それくらい魅力的な作品群を取り扱っています。
逆に言うと、この50枚をおさえてないとモグリと言われてもおかしくない内容になっていますから。もしプログレには自信があるという人がいたら是非読んでみてください。見落としている作品があったら一刻も早く聞くことをオススメしますよ。
選考から漏れた作品たち
で、50枚という枠ですら紹介しきれない作品というのも沢山あったんです。いくらプログレッシヴ・ロックがサブ・ジャンルといえども、70年代における隆盛は目を見張るものがあった訳ですからね。
それに80年代以降のポップスと結びついて発展した「ネオ・プログレ」だったり、ポスト・ロックなんかと接続したニューカマーにも素晴らしい作品はありますから。ここでは泣く泣く選考漏れとなった作品をいくつかピックアップして、紹介という名の供養をしておこうかと。
『クイーンII』
これ、執筆を始めた当初は紹介する気満々でした。「あのクイーンも初期はプログレ的な作品を作っていたんだよ」というのは語り口としてはとても面白いと思っていたんですよ。
ただ、UKプログレッシヴっておさえておきたい作品が本当に多いんですよね。その上でユーロ・ロックやクラウトロックにも枠を割く必要がある。そうなってくると、クイーンを50枚の中に入れていいものかという葛藤が巻き起こってしまったんです。
それに『クイーンII』ってクイーンのファンからすると最高傑作かのように扱われている作品ですからね、このディスクガイドがなくともあの作品に辿り着くことって実は容易なのかなと。それならよくわからんフランスのプログレッシヴ・ロックをもう1枚紹介した方がこの企画にとっては適切なのかなという判断です。
いや、本当に大好きなアルバムなんですけどね。Twitterで現在展開中の「クイーン全曲レビュー」でも近々この作品に触れますが、「クイーン流イエス」って感じの作品で。そちらで紹介するというのも今回レビュー対象外とした理由の1つです。
クイーンII(SHM-CD)『詠時感〜時へのロマン』
エイジアのデビュー・アルバム。大ヒットを記録した作品ですね。以前Twitterでレビューを投稿した際も大きな反響をいただいた人気作品です。
キング・クリムゾンにイエスにELP、プログレッシヴ・ロックの重鎮が一堂に会したこの作品もご紹介するべきかとは思ったのですが、如何せんポップ過ぎるな……というところで今回は選出しませんでした。
別に「ポップな音楽はダメだぜ」なんていうロキノン厨みたいな考えに基づいたものではないです。ただ、エイジアの目指したところって「プログレッシヴ・ロックのエッセンスをどこまでポップスにできるか」というものだと私は解釈しているんですよ。
ということは、この作品は性質的にプログレじゃないのではないかと、そう考えた訳です。素晴らしいアルバムであることは事実だけれども、プログレを別の領域に押し広げた作品をプログレとして紹介するのは趣旨からブレる気がしたんですよね。
詠時感~時へのロマン~『過ち色の記憶』
マリリオンの傑作コンセプト・アルバムですね。この作品そのものというよりは、「ネオ・プログレ」そのものをどう扱うべきかという部分ではかなり悩まされました。
ちょっとしたネタバレになってしまいますけど、ドリーム・シアターはnote記事の方でレビューしているんですよね。そこを扱うならネオ・プログレだって紹介すべきではあるんですが……
誤解を生みそうな表現ですけど、例えばプリンスの作品を人に勧める時、00年代のアルバムって基本的に候補にあがらないと思うんです。全然名盤揃いではあるんですけど、プリンスがどういうアーティストか知ってもらうにはやっぱり『パープル・レイン』だったり『サイン・O・ザ・タイムス』が適切でしょ?
それと同じ感覚なんですよね、私の中でのネオ・プログレって。大好きなんだけれど、いきなり人に勧めるものでもないような、そんな微妙なポジションなんです。でもマリリオンくらいは触れるべきだったかもしれないな……ここで紹介したのでチャラということで。本当に名盤ですから是非聴いてみてください。
過ち色の記憶(紙ジャケット仕様)『ラヴァーズ・エンド』
コレも個人的に大好きな作品なんですよ。21世紀のプログレ作品では白眉じゃないでしょうか、ムーン・サファリが2010年に発表した『ラヴァーズ・エンド』。
紹介しなかった理由はネオ・プログレと基本的には同じです。初心者がいきなりここに手をつけるのってどうなの?という。重厚なコーラス・ワークにキャッチーなメロディはそれこそクイーンを想起させるほど親しみやすいものなんですが、その親しみやすさは今回触れるべきではないのではないかと。
それに、やっぱり70年代の作品に多く枠を割きたかったんですよね。「ロックは○○で終わった!」みたいな保守的なことは言いたくないですけど、それでもプログレの真髄は70年代、パンク隆盛より前にあることは事実ですから。まずはそこをしっかり探究すべきじゃない?というのが個人的な思いなんです。
いずれ80年代以降のプログレというテーマで記事を書いてみるのも面白いかもしれませんね。もうしばらくプログレは聴きたくないと言ったばかりですが、どうせすぐに禁断症状が出るでしょうから。
Lover’s Endまとめ
さて、今回は「50枚deマスター!プログレッシヴ・ロック編」の編集後記、というよりは書き終えての雑談でした。
販促みたいになるのもそれはそれでいやらしいとは思うんですが、本当にいい記事なんですよアレ。お金をいただくには十分のコンテンツですので、是非ともお読みいただきたいです。
「5枚de入門!」の方も次のシリーズに取り掛かりたいですね。それに「50枚deマスター!」も第2弾の構想を温めているところです。サイケ・ロックの50枚の名盤、考えるだけで気が遠くなる思いですけど、やってみるだけの価値はあるのかなと。それではまた。
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